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併合4級の症状固定時23歳男子大学生の逸失利益を労働能力喪失率80%で67歳まで認めた事例(H25.3.26横浜地判)
被害者の後遺障害は併合4級であり,A病院の医師は,左手のみを使用した軽作業のみ可能である旨診断している。被害者は,本件事故後,大手の建設会社に正社員として雇用され,資料作成等の仕事をしていること,H23分の年収額は¥4,022,670であること,主な後遺障害は右手の機能障害であること,ただし,上記雇用が障害者枠のものであることなどに照らすと労働能力喪失率は80%とする。
併合10級の22歳男子栄養士(事故時は大学生)の逸失利益を労働能力喪失率27%で67歳まで認めた事例(H23.4.13大阪地判)
後遺障害として左股関節および左膝関節に機能障害を,左・右足大腿部の醜状障害を残しており,いずれも12級に相当するものとして併合10級に該当すると認定を受けた。被害者は,現在栄養士として私立病院に勤務しているところ,機能障害により走ることは不可能であり,階段の上り下りには,手すりを使って自分の身体を引っ張り上げるようにしなければならないなど,現在の仕事に大きな障害が生じているというべきである。
特別な技能を有する大学生の後遺障害逸失利益計算例(H19.9.25東京地判)
被害者は,症状固定の25歳から67歳までの42年間の就労可能期間において労働能力を100%喪失したというべきである。また,被害者が書道に関して有していた才能を大学での課程を通じさらに高めて特別な技能として修得するに至っていたことに照らすと,被害者は上記の期間を通じ,H14年賃金センサスの大学を卒業した女性労働者の全年齢平均年収額である¥4,465,000に1割を加算した金額に相当する収入を得ることが可能であったと推認することができる。
大学生の高次脳機能障害による逸失利益について60%の労働能力喪失を認めた事例(H12.12.12東京地判)
被害者の後遺障害は高次脳機能障害であるが,その具体的な症状としては四肢の運動麻痺はなく,左手に軽度の振せんを認める以外には特に異常がない。しかし就職の点では筆記試験に合格しても面接試験で不採用になるなど未だ安定した職に就けず,就職の見込みはたっていない。また,感情抑制ができず,コミュニケーションをうまくとれないために対人関係でも問題を起こしがちである。被害者の担当できる職務内容もおのずから限定されざるを得ないものと思料される。後遺障害による労働能力喪失率は,被害者の日常生活上の不都合よりも相当大きなものと評価すべきである。
後遺障害等級認定率 実績48.1%(R2.1.1~R3.10.31)
ありあけ法律事務所の令和2年1月1日から令和3年10月31日までの後遺障害等級認定率の実績は,48.1%(27件中13件)でした。
今後も,後遺障害等級について適切な認定がなされるよう努めてまいります。
安定した状態にある植物状態の被害者の推定余命を簡易生命表所定の期間とし,逸失利益の生活費控除についてはするべきではないとした事例(H10.3.19東京地判)
被害者は植物状態にあるが,非常に安定した状態にあり,余命はH6簡易生命表22歳男子の該当数値である55.43年と推認するのが相当である。これに対して加害者は,自動車事故対策センター作成の調査嘱託回答書等に基づき植物状態患者の平均余命が10年程度であるから被害者の余命も同程度であると主張するが,この資料のサンプル数は極めて少ないこと,被害者に異常があれば直ちに医療機関の処置を受ける態勢が整っていること等より採用出来ない。また,加害者は,被害者は労働能力の再生産に要すべき生活費の支出は必要ないので生活費控除をすべきであると主張する。しかし,生活費は必ずしも労働能力の再生産費だけを内容とするものでなく,被害者は今後も生命維持のための生活費を要するし,雑費の多くは逸失利益中から支出されることが見込まれるので,生活費を控除するのは相当でない。
男子被害者の脾臓喪失による逸失利益算定例(H6.6.27大阪地判)
脾臓の機能は,主に胎児期における赤血球の生産であるが,成人しても老朽化した赤血球の破壊,免疫作用等の機能があること,成人して脾臓を喪失しても肝臓その他の臓器が代替する側面はあるものの,一過性の血小板の増加等の血液の変化があり,長期的にみると敗血症を引き起こした例も報告されていること,一般にも,全身の倦怠し易い状態を生じるものであることが認められる。これらの諸事情に照らすと,現在の現実的な稼働能力はともかく,将来的に考えると,職業選択,選択後の職業における勤務についてある程度の影響のでることが推認されるものの,労働能力喪失率は,原告の卒業予定時から平均15%とするのを相当と認める。
顔面醜状痕を含む併合6級の症状固定時19歳女子の逸失利益を労働能力喪失率25%で67歳まで認めた事例(H25.5.30大阪地判)
被害者の現実の勤務への具体的な支障,就労の不安定性,今後の転職等で受ける可能性のある不利益の存在等を考慮すれば,被害者の労働能力喪失率は醜状痕と右手の神経症状をあわせて25%とするのが相当である。
症状固定時19歳男子の外貌醜状14級の逸失利益について,喪失率5%で67歳まで認定した事例(H24.3.29横浜地判)
被害者が1000人程度の従業員を抱える企業の正社員であり,対人折衝が必要な業務に従事しており,将来的には営業部門等に配属される可能性もあり,被害者の顔の傷が仕事の能率や意欲に影響を与える程度は大きくなるものと考えられ,5%の労働能力喪失を認めるのが相当である。
高校生である被害者の歯牙損傷に係る後遺障害逸失利益計算例(H21.1.30大阪地判)
被害者は,本件事故より14歯以上の歯科補綴が必要になったことが認められる。被害者は現に歯科補綴を受けないまま別の事故により死亡したものであると認められるが,歯の損傷という障害内容に照らすと,仮に被害者が死亡していなければ症状がより改善していたものと認めることができないから,被害者は後遺障害等級10級4号の後遺障害を残していたものと認めることができる。また,後遺障害の内容が歯の欠損等であり,歯科補綴によりある程度機能が回復することなどにも照らすと,後遺障害等級10級4号に該当するからといってただちに27パーセントの労働能力喪失があったとみることには疑問があるので(醜状障害におけると同様),20パーセントの限度で労働能力の喪失を認めることが相当である。
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