大学生の高次脳機能障害による逸失利益について60%の労働能力喪失を認めた事例(H12.12.12東京地判)

2021-11-15

被害者の後遺障害は高次脳機能障害であるが,その具体的な症状としては四肢の運動麻痺はなく,左手に軽度の振せんを認める以外には特に異常がない。しかし就職の点では筆記試験に合格しても面接試験で不採用になるなど未だ安定した職に就けず,就職の見込みはたっていない。また,感情抑制ができず,コミュニケーションをうまくとれないために対人関係でも問題を起こしがちである。被害者の担当できる職務内容もおのずから限定されざるを得ないものと思料される。後遺障害による労働能力喪失率は,被害者の日常生活上の不都合よりも相当大きなものと評価すべきである。

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