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<弁護士交通事故裁判例>事故時59歳男子代表取締役の休業損害について症状固定日までの4年5カ月について70%の就労制限率で認めた事例
生活態様:建築部門と健康食品部門のあるA社の代表取締役であるが,
建築部門の現場作業には被害者しか従事していなかった。
算定基礎:年額¥6,720,000
A社におけるH14年度に得ていた報酬額の80%
休業日数:53月×70%
H18.12.18初診時の症状について医師が就労は厳しいと
証言していること,症状固定日(H19.12.11)時点にお
いても,頭位変換時平衡感覚異常を残していて,本格的には稼働
していなかったこと等の事実を総合考慮して,症状固定日までの
約4年5カ月間(53月)についての就労制限率は,平均して
70%と認めるのが相当。
認容額:¥20,776,000
(大阪高裁 平成23年7月22日判決)
<弁護士交通事故裁判例>会社役員の休業損害として¥2,500,000を認めた事例
会社の休業損害:¥2,500,000
会社は,技術者は被害者1名,従業員は2名であり,航空測量
は技術者がいなければできず,会社の営業も成り立たないとこ
ろ,会社は,H11ないしH13にかけての第10ないし12
期の売上高は¥20,000,000前後あったものの,H
14.9.10からH16.3.1までの売上が半分以下に落
ち込んでおりこれらの事情を総合すると,本件事故による被害
者の傷害と会社との損害との間には相当因果関係が推認される。
前期のとおり会社の売上の減少があり,本件事故によるもので
あること,しかし,会社は本件事故前の12期は赤字であった
こと,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果を総合すると,会
社の休業損害は¥2,500,000と認めるのが相当である。
会社は12期は赤字であったが,営業活動をしており,被害者
らおよび従業員に報酬等を支払っていたものであるから,単に
赤字であるからといって直ちに損害が発生しないということは
できない。また,被害者と会社は別人格であり,被害者への支
払分を会社の損害の支払にあてることはできない。
<弁護士交通事故裁判例>会社代表取締役の休業損害について賃金センサス男性労働者全年齢平均賃金で認めた事例
生活態様:建設業を営む会社の代表取締役
算定基礎:年額¥5,659,100(H13賃金センサス男性労働者全年齢
平均賃金)
被害者の役員報酬は,H12分が¥4,063,735,H13分が
¥8,317,000であることが認められるが,被害者の役員報酬
が会社の売り上げに応じて決定されていたことが認められるうえ,
H12分とH13分の各役員報酬額に倍以上の開きがあることからす
れば,景気等の影響による会社の売上高の変動によって,被害者の役
員報酬額が大きく変動する可能性があることを否定できないから,
2年分のみの役員報酬の平均額をもって基礎収入とすることはできない。
休業日数:178.7日
入院期間中の35日間は100%の就労制限を受けたものの,退院し
た翌日であるH13.4.7からH14.7.29までの1年と114
日間においては平均30%の就労制限を受けたにとどまるというべき
である。
認容額:¥2,770,632
(東京地裁 平成18年7月18日判決)
<弁護士交通事故裁判例>赤字の土木会社経営につき、事故前の収入全てを基礎収入として認めた事例
生活態様:被害者は土木会社を経営し、被害者とその妻が経営者であった。常雇いの従
業員は2名で、必要に応じて臨時雇い、被害者および妻も現場に出て作業を
担当していた。
算定基礎:年額¥4,400,000
被害者は土木会社のH12の年間売上げ¥61,490,000、被害者の
報酬¥6,000,000、妻の報酬¥3600,000、H13の年間売
上げ¥54,310,000、被害者の報酬¥6,000,000、妻の報
酬¥3,600,000、H14の年間売上げ¥24,140,000、原
告の報酬¥4,400,000、妻の報酬¥1,600,000であった。
原告の報酬はその大部分が労働の対価として見て良く、H14の売上げがH
13に比べて大幅に減少していることを考慮してH14の被害者の報酬額
440万円を基礎年収とするのが相当である。
加害者は、事故直前は被害者の会社は赤字であったから、収入がなかったと
主張したが、裁判所は、被害者夫妻が自己の財産をつぎ込んで会社の存続を
はかるか、会社に見切りをつけて廃業するかは、その相応の報酬を受領する
こととは切り離して考えるべきとして、その主張を排斥した。
休業日数:429日
事故時から症状固定まで429日間、体調不良のため労務に従事できなかっ
た。被害者は会社を解散せざるを得なかったものであるところ、事故時69
歳と比較的高齢であることを考慮すると、通院期間全部について休業するの
もやむを得なかった。
認容額 :¥5,171,506
(名古屋地裁 平成17年7月15日判決)
<弁護士交通事故裁判例>女性会社役員の休業損害について役員報酬の3分の1を労働の対価部分として算定した事例
休業損害:¥34,500,000
被害者は事故当時、有限会社P、株式会社Fの役員として勤務し、Fの3店舗
について、仕入の手配、請求書の処理、支払手続、経理等の事務手続き一切を
1人で行い、さらい繁忙期には店舗に出て手伝いをするなどしていた。被害者
の本件事故前のH10の収入は、役員報酬として¥34,800,000であ
ったが、本件事故後は、H11が¥17,400,000、H12が
¥26,100,000、H13が¥26,400,000で、H11から
H13の3年間にかけて合計¥34,500,000、平均すると3分の1の
減収になったと認められる。被害者の前期就労実態ならびに被害者の精神科へ
の入院後は、他の従業員2名を雇用して被害者の行っていた業務を代行させる
などしたことからすれば、すくなくとも被害者に支払われていた役員報酬のう
ちの3分の1程度は労働の対価部分であると認められ、さらに減収となった部
分については被害者が就労できなかったことから減額されたと認められる。
これによれば、被害者のH11からH13の3年間の減収分合計¥34,
500,000は、同人の休業損害と認めるのが相当である。
(名古屋地裁 平成16年5月26日判決)
<弁護時交通事故裁判例>建設機械修理販売業を営む会社代表者の休業損害を賃金センサス男子労働者平均賃金をもとにし算定した事例
生活態様:被害者は、建設機械の修理販売を行う会社の代表取締役で、同社の従業員は
本件事故当時8名であった。同社はK株式会社から専属的に外注を請ける
下請け会社で、K株式会社は、実働の仕事がなくとも、1日8時間、時間給
¥3,250~¥3,300の給与保証をしている。被害者の仕事の内容は
ほかの従業員と同じ重機類の整備である。被害者はH11.5.18~
H12.1.24現場における就労ができなかったにもかかわらず、会社
から本件事故の前後を通じ、年間¥10,800,000の給与の支払いを
受けている。
算定基礎:年額¥7,145,900
H11賃金センサス産業計・企業規模計・男子労働者・学歴計・50~
54歳の年額
休業日数:252日(H11.5.18~H12.1.24)
認容額 :¥4,933,607
被害者と会社を経済的に同一体として被害者が就労できなかったことによ
って会社がK株式会社より受けられなかった請負代金の金額を、被害者の
休業損害とするが、この金額が根拠上明らかでないということで上記の算定
となったもの
(岡山地裁 平成15年6月13日判決)
<弁護士交通事故裁判例>会社役員の休業損害につき相当因果関係ある減収分を、役員報酬のほかに労働能力が制限された程度を総合して算定した事例
生活態様:ダンススタジオの経営等をする会社の取締役
算定基礎:¥6,529,560(年額)、¥544,130(月額)
被害者が、本件事故にあわなければ得られるはずであった役員報酬は月額
¥658,180であると認められる。しかし役員報酬は、本来当然に全額
が労務の対価として評価できるとは限らないうえ、被害者が復帰した後の
役員報酬額は¥544,130(年額¥6,529,560)とされている。
そしてH9賃金センサス第1巻第1表企業規模計・産業計・男子労働者の
30歳~34歳の平均賃金が¥5,295,400(顕著な事実)である
ことと対比すると、役員報酬中の労務の対価分としては、せいぜい月額¥
544,130であると認められ、それ以上であると認めるに足らない。
相当因果関係ある減収分については、被害者の会社が恣意的に減額割合を
決定している可能性は否定できないので、被害者が現実に支給された役員
報酬額のほかに、労働能力が制限された程度を総合して本件事故と相当因果
関係のある休業損害を算定するのが相当である。そこで、治療経過を前提に
被害者の労働能力が制限された割合を判断すると、入院中の50日間は
100%、その後H10.1.31~H10.4.30の90日間は平均
して50%の限度で労働能力が制限されたと認められる。
休業日数:入院期間である50日と通院期間である90日の合計140日
認容額 :¥1,699,474
(東京地裁 平成13年1月29日判決)
<弁護士交通事故裁判例>作家である被害者が法人成りした有限会社の損害を認定した例
生活態様:被害者は作家で、個人が法人成りした有限会社との間で機関としての代替性
はなく、経済的に一体をなす関係にあるということができる。
算定基礎:年額¥10,338,81(有限会社の事故後の損失額)
認容額 :¥6,513,450
会社の損害は、第1事故および第2事故と相当因果関係がある。
ただし、寄与度減額30%および過失相殺10%を適用
(東京地裁 平成12年3月29日判決)
<弁護士交通事故裁判例>被害者の労働を得られない期間も被害者に月額¥1,000,000の役員報酬を支払ってきた会社の報酬支払分を損害と認めた事例
会社の損害:¥8,885,160
被害者は、本件事故当時原告会社の代表取締役であり、従業員は25名ばかり
を擁していたこと、被害者の負傷休業中も原告会社は営業を続けていたこと、
そして原告会社は、被害者の欠勤中も月額¥1,000,000の役員報酬を
支払ってきたことが認められる。被害者本人は、その休業により営業成績が
落ちた旨供述するが、これを裏付ける的確な証拠はない。
原告会社は被害者の労働を得られないことにより、賃金センサスによる平均賃
金程度の被害を被ったと評価するのが相当である。治療状況からみて、被害者
は、当初7か月は全く稼働できず、その後4か月は10%程度、その後7か月
は20%程度しか稼働できなかったと認められる。
認容額:¥8,885,160
(神戸地裁 平成11年4月21日判決)
<弁護士交通事故裁判例>専務取締役の休業損害につき、基本給、役職手当の全収入がその労働の対価であることには疑問があるとして、賃金センサスを用いて算定した事例
生活態様:パチンコ店を経営する株式会社の専務取締役
算定基礎:月額¥539,700
(H4賃金センサス企業規模計・学歴計・男子労働者40~44歳平均賃金)
被害者は基本給¥1,000,000、役員手当¥200,000の計
¥1,200,000の月収を得ていたこと、母親はほとんど営業に関わ
っていないが、基本給¥1,000,000を得ていたこと、被害者の基
本給も被害者自身が決定していたことからすると、被害者の全収入が被害
者の労働の対価であることには疑問があり、そのかなりの部分は実質的な
利益配当分であると推認できる。
休業日数:19か月
被害者の負傷内容、症状の推移、就労状況からすると、被害者は事故から
3か月間は就労不能であり、その後3か月は平均してその労働能力の80
%を失い、その後13ヶ月は平均してその労働能力の20%を失っていた
と認められる。
認容額 :¥4,317,600
(大阪地裁 平成9年6月13日判決)