Archive for the ‘未分類’ Category
MOX差し止め認めず=玄海3号機「基準満たす」―佐賀地裁
九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町、停止中)で使用するウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料には欠陥があり、重大事故が起きる危険性があるとして、住民ら130人が使用差し止めを求めた訴訟で、佐賀地裁は20日、住民側の請求を棄却する判決を言い渡した。波多江真史裁判長はMOX燃料について「原子力規制委員会の基準を満たしており、具体的な危険があるとは言えない」と判断した。
(時事通信社より)
福士蒼汰が女子生徒を抱きしめ→歓声/塾講師が抱きついた→逮捕・・・この差はなに?
人気若手俳優・福士蒼汰さん(21)が、主演映画「ストロボ・エッジ」のプロモーション活動で訪れた高校で、「袖クル」と呼ばれる映画の胸キュンシーンを再現して歓声を浴びた。3月10日のオリコンニュースによると、福士さんが女子生徒のひとりを後ろからハグし、女子生徒が着ていた上着の袖をまくると、周りで見ていた生徒たちから「きゃ〜!」という歓声があがったという。
一方、同じ3月10日には、熊本市の学習塾で講師をしていた男性(42)が、背後から教え子の女子中学生に抱きついたとして「強制わいせつ罪」の容疑で熊本県警に逮捕された、というニュースも報じられた。報道によると、講師は「魔が差した」と供述したという。
たまたまタイミングが重なった2つのニュースについて、ツイッターでは「法の限界を感じる」「ただしイケメンに限るってやつか」とつぶやく声もあった。女子生徒の背後から抱きついたという点では同じなのに、一方は「歓声」、一方は「逮捕」という落差はどこから生じるのか。
まさか、イケメンなら犯罪にならない、ということだろうか。刑事事件にくわしい富永洋一弁護士に聞いた。
●「イケメン」でも犯罪になる?
「もし、イケメンには強制わいせつ罪が成立しないとすれば、『そんなの差別じゃないか!』と言われてしまいそうです。
しかし実際のところ、刑法上、『抱きついた人が誰か』は、問題になりません。
どんな男性でも、女性の事前の同意や承諾を得ずに、その背後から抱きつけば、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
女性に抱きつく行為は、女性の性的自由を侵害する行為として、『わいせつな行為』に該当する可能性があります。また、後ろから突然抱きつくというのであれば、『暴行』に当たる可能性があるからです」
富永弁護士はこう述べる。イケメンだったり、人気俳優だったりしても、強制わいせつ罪は成立しうるわけだ。線引きはどこにあるのだろうか。
「ポイントは、女性側が、抱きつかれることについて、事前に同意や承諾をしているかどうかです。同意がある場合には違法性がなくなりますので、強制わいせつ罪などの犯罪は成立しません。ただし、相手が13歳未満だった場合は、同意があったとしても、強制わいせつ罪が成立します」
●男性に「いやらしい気持ち」がなかったら?
そうすると、男性が女性を抱きしめる際、「抱きしめてもいいですか?」と承諾を求めないと犯罪になってしまうのだろうか。
「もともと親しい間柄などであれば、黙示の同意があるから違法性がないとして、そもそも犯罪にならない場合もありえるでしょう。
また、事前に同意や承諾がなくても、抱きつかれた女性のほうが『まんざらでもない』場合には、結果的に警察沙汰にはならないでしょう。ただ、これは処罰感情がなく許しているから『警察沙汰にしない』というだけのことです。
法的には、女性側の事前の同意や承諾がない場合に、無理やり抱きついたりしたら、強制わいせつ罪などの犯罪が成立すると考えておいたほうがよいでしょう」
男性側に、いやらしい気持ちが全くなかったとしても、犯罪になるのだろうか。
「最高裁判所の判例は、強制わいせつ罪が成立する要件として、男性側に性欲を満たすなどの『性的意図』が必要だとしています(昭和45年1月29日判決)。
男性側においてそのような『性的意図』がなく、親しい間柄でのハグのようなものだとしたら、強制わいせつ罪は成立しない可能性もあります。
ただし、下級審では、男性側の『性的意図』の有無にかかわらず、被害者の性的自由が侵害されれば強制わいせつ罪が成立するとした裁判例(東京高裁平成26年2月13日判決)もあります。軽はずみな行為には、くれぐれも注意したほうがよいでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
富永 洋一弁護士
富永 洋一(とみなが・よういち)弁護士
東京大学法学部卒業。平成15年に弁護士登録。所属事務所は佐賀市にあり、弁護士2名で構成。交通事故、離婚問題、債務整理、相続、労働事件、消費者問題等を取り扱っている。
事務所名:ありあけ法律事務所
事務所URL:https://ariakelaw-saga.com/
裁判員「証拠写真しんどかった」 尼崎連続変死公判後一問一答
尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の次男、優太郎被告(28)に神戸地裁は18日、懲役17年の判決を言い渡した。過去最長となる132日間の裁判員裁判を終えた裁判員4人と補充裁判員1人が神戸地裁で会見に応じた。
主なやりとりは次の通り。
-裁判員を終えた感想
A(40代男性) 社会的に有名な事件で、選ばれた責任の重さを痛感した。裁判が終わり、正直ほっとしている。
B(24歳男性) 会社と裁判の両立ができるか不安に感じた。(水-金曜の)週3日の審理は会社と両立するには負担でもあるし、配慮してもらった部分でもある。判決は長い期間評議を重ねた結果なので「これでよかったのか」という思いと「やりきった」という思いがある。
-計132日間の裁判員裁判。生活や仕事での負担は?
C(20代女性) 私は3歳と0歳児の子育て中で、子どもとのコミュニケーションが短くなってしまうことは残念に感じた。
D(30代女性) 自宅から裁判所まで約3時間。裁判の時は神戸の実家に宿泊するなどして迷惑をかけてしまった。ただ、住所地が遠いからという理由で候補から外されるのはよくないと思う。
E(45歳男性) 一般生活では見ることのない光景の証拠写真などを目の当たりにすることは、正直しんどかった。
-制度の課題や変えた方がいいと思ったところは?
D 今回選ばれた裁判員は男女5人ずつだったので、バランスのとれた活発な評議ができたと思う。今後は男女比が同じになるようにあらかじめ決めて抽選してもいいのではないかと思った。
E 一日の審理が終わると、現実に対する怒りや悲しみが頭に残っている。審理後、裁判所でその日の振り返りのようなことがあってから帰れる方が、後の日も有意義な評議ができるのではと思う。
-事前の報道は審理に影響したか。
C 裁判中、報道とは全然違う話だと思うこともあった。検察官も裁判官も事件の流れを分かりやすくきちんと説明してくれたので、それまでの報道に左右されることはなかった。
D 特に気にはならなかった。むしろ公判を終えた後に(その日の公判の)報道を見て頭を整理するというように役立てていた。
-美代子元被告や優太郎被告について審理を通じて感じた印象は。
A 美代子元被告についてはさみしい人、(他人に)見てほしいという思いが強い人だったのではと思う。優太郎被告については、美代子元被告のもとでなければいい青年になっていたのではないか。
B 美代子被告は、ひどいことをする人、えたいがしれないなと思った。優太郎被告は、普通の家庭に生まれ育っていれば、健全な人だったのではと思う。同情してしまう一面もあった。
-複雑で特異な事件。一つ一つの事象や証拠を整理する余裕はあったか。
E はじめは、どういう人間関係の整理をすればいいのか悩んだ。
-家に帰って何も手が付かないなど、つらさはあったか
D 長期間にわたり、初対面の人同士でいることがつらくなった時期があった。
-週に2、3日という裁判所の配慮については?
E 私は平日を全部裁判で埋めて期間を短くしてほしかった。(裁判のない)月、火曜日に会社に行くと仕事を期待される。でも、やり残した仕事が気になったまま裁判に臨まなければいけなかった。
B 審理の点では週5日やった方がよかったと思う一方で、週2日空いていたので気持ちの整理をつけられてよかったとも思う。会社にも(2日間行けることを)ありがたがられた。
(神戸新聞より)
<接見交通権>公判中の捜索は違法、国に110万円賠償命令
◇大阪地裁判決 捜索令状発付の裁判所の責任は否定
大阪地検が公判中に拘置所の独居房を捜索し、弁護人宛ての手紙を押収したのは刑事訴訟法が認めた接見交通権の侵害だとして、男性受刑者(44)と当時の国選弁護人が計3300万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁であった。佐藤哲治裁判長は「捜索は違法だ」として、計110万円を支払うよう国に命じた。捜索令状を発付した裁判所の責任は否定した。
原告は2008年9月に大阪府柏原市のパチンコ店で起きた強盗事件などで起訴され、懲役10年の実刑が確定した男性と1審の国選弁護人の宮下泰彦弁護士(大阪弁護士会)。
判決によると、男性は起訴内容を認めていた強盗罪について、10年2月の第5回公判で否認に転じた。大阪地検は10年7月、共犯者と口裏を合わせるなど証拠隠滅の恐れがあるとして、男性が勾留されていた大阪拘置所の独居房などを家宅捜索。検事の取り調べに対する不満などを記した弁護人宛ての手紙、弁護人が差し入れた公判での質問事項の書面などを押収した。
判決はまず、弁護人との手紙などは「被告の権利を定めた憲法に基づいて、捜査機関に秘匿されるべきもの」と述べた。
そのうえで、「原告が公判での防御準備を整えた時期の捜索で、独居房にはその書類が集積していると十分に予測できる」と指摘。捜査の必要性に比べて捜索は男性側の不利益が大きく、検察官が令状を請求したのは違法で、手紙などの押収により接見交通権を侵害したと結論付けた。
一方、原告側は令状を発付した大阪地裁の裁判官の責任も訴えたが、判決は「裁判官が違法または不当な目的で権限を行使して発付したとは言えない」と退けた。
大阪地検の北川健太郎次席検事は「賠償責任が認められたのは予想外だ。関係当局で判決内容を精査され、適切に対応されると考えている」とコメントした。
渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)の話 勾留中の被告は弁護人との手紙やメモを拘置所の居室に保管せざるを得ず、捜索は憲法が保障した被告の防御権を踏みにじる暴挙。判決が違法としたのは当然だ。
元東京高裁判事の門野博・法政大法科大学院教授(刑事訴訟法)の話 男性らの防御権を侵害しており違法とした点で妥当な判決だ。しかし、捜索令状を請求した検察官の過失責任を認定しながら、裁判官を免責した判断に整合性があるのか疑問も感じる。
◇接見交通権
身柄を拘束された容疑者や被告が第三者の立ち会いなしに弁護人と面会したり、書類を受け渡したりできる権利。刑事訴訟法が規定し、秘密交通権とも呼ばれる。
◇「大阪地裁の責任の問題なし」に違和感
大阪地検の捜索を違法とした判決は、地検の求めに応じて捜索令状を発付した大阪地裁の責任については問題にしなかった。
捜査機関が家宅捜索や逮捕状の執行によって強制捜査をするには、裁判所の令状が必要だ。裁判所がお墨付きを与える形だ。裁判官は捜査側が示した資料を検討し、発付の可否を判断している。
ただ、捜査の違法性が問題になった時、批判の矢面に立つのは捜査機関だけの場合が大半だ。令状を出す裁判官の裁量権は検察官や警察官より幅広く認定されてきたと言える。
民事訴訟の最高裁判決(1982年)は裁判官の法的責任を認めるには「違法または不当な目的を持って、付与された権限に背く特別な事情があることが必要」とした。大阪地裁もこの判例を踏襲し、裁判官には検察官ほどの厳格な責任を求めなかった。
しかし、令状の発付権限を裁判官に与えているのは捜査機関の暴走を食い止めるためでもある。問題の捜索は公判中で、対象は拘置所という異例の場所だ。裁判官はいつも以上に慎重な検討が必要だったのではないか。
令状を請求した検察官の責任だけを認めた判決にはやはり、違和感を覚えざるを得ない。
(毎日新聞より)
氷見冤罪 県に賠償命令 捜査は違法 富山地裁、1966万円
国への請求は棄却
富山県氷見市の冤罪強姦(えんざいごうかん)事件で再審無罪となった柳原浩さん(47)が、国や富山県などに約一億円を求めた国家賠償請求訴訟の判決が九日、富山地裁であった。阿多麻子裁判長は「取り調べで虚偽の自白をつくり出した」と県警の捜査を違法と認め、県に約千九百六十六万円の支払いを命じた。一方、国への請求は棄却した。柳原さんの自白が虚偽と判断できる状況ではなかったとして、起訴した富山地検の判断を違法と認めなかった。
原告弁護団によると、再審で無罪となった冤罪被害者に国家賠償を認めた判決は三件目で、誘導的な取り調べを違法と指弾したのは初めてとみられる。過去二件はいずれも二審で覆り、敗訴が確定している。
判決は、県警による取り調べで、柳原さんに犯行状況を説明させるため、捜査員が納得できる答えが出るまで同じ質問を続けたことを「不当な誘導で回答を押しつけることと変わらない」として違法と判断した。原告弁護団は「これまで見過ごされてきた取り調べの誘導に、違法性を指摘した」と評価した。
また判決は、県警の取り調べについて「心理的圧迫を与えた」とも認めたが、暴行や脅迫などの違法行為はなかったとして、自白の強要は認めなかった。
このほか、県警が被害者に複数の写真の中から犯人を選ばせた手法にも「捜査員による暗示や誘導の危険性が排除されているとはいえない」と指摘。被害者に、柳原さんが犯人かを確認させる「面通し」の手法にも「(警察官から)原告が犯人という示唆か暗示を受けた可能性を否定できない」とし、いずれも「違法となり得る」と問題視した。
アリバイを示す通話記録を県警が無視したとする原告側の主張は「柳原さんが取り調べ中にアリバイを主張した証拠がない」と違法性を認めなかったが、違法な捜査で柳原さんが心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負ったことは認定した。
当時の捜査員と検察官への請求は「国賠法は公務員個人の賠償責任を規定するものではない」として退けた。
(中日新聞より)
ネットの人権侵害5割増 性的写真・子ども中傷 法務省
人権侵害の疑いがあるとして、全国の法務局が昨年1年間に相談をうけて調査した「人権侵犯事件」のうち、インターネットを使ったものが1429件と前年より5割増え、統計を始めた2001年以降で最高となったことがわかった。法務省が13日発表した。
ネットを使った人権侵害は、掲示板や動画投稿サイトなどで行われている。女性の性的な写真が氏名や年齢とともに掲示板に掲載されたケースや、中学生の氏名や学校名を記載して「死ね」と中傷する動画が掲載されたケースがあり、これらについては法務局が掲示板などの管理者に削除を要請したという。
昨年の人権侵犯事件の総件数は2万1718件で、前年比3・2%減。04年以降は2万件を超えており、法務省人権擁護局は「高止まりしており、改善の傾向はみられない」としている。種類別では、暴行・虐待(4134件)や学校でのいじめ(3763件)が多かった。
(朝日新聞より)
公園生活者のテント強制撤去「一部違法」 東京地裁判決
東京・渋谷駅近くにある渋谷区立宮下公園の改修に伴い、公園で生活していた男性のテントなどを強制撤去したのは違法だとして、男性や支援団体が区に約590万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。沢野芳夫裁判長は「撤去前に、男性を無理やり担ぎあげて退去させたのは違法だ」として、男性に11万円を支払うよう区に命じた。強制撤去そのものは「適法」とした。
同公園をめぐっては、区がスポーツ用品メーカーのナイキジャパンに命名権(ネーミングライツ)を売却。公園の改修のために2010年9月、テントなどを強制撤去する「行政代執行」を実施した。これに先立ち、退去を拒んだ男性を区職員らが担ぎ上げて退去させたが、判決はこの方法が「許される範囲を超えている」とした。
一方、「同社が公園の改修費用を負担し、その対価として区が命名権を与える」した契約を区が結んだことについて、判決は「必要な議会の議決がなく、地方自治法に違反する」と指摘した。
(朝日新聞より)
「命令に答えろ、あほ」ICレコーダーに録音、取調室の2時間20分…80代元校長、大阪府警を「違法」提訴
ICレコーダーには若手警察官の生々しい肉声が残されていた。「やりましたって一言ゆうてくれたら済む」「あなたは犯人です」「命令に答えろ、あほ」…。録音したのは、80代の堺市に住む元小学校校長の男性。音声は、知人男性への傷害容疑で大阪府警西堺署に任意で事情聴取された際のものだ。その後、書類送検を経て在宅起訴され、1審無罪が確定した男性は2月、犯人と決めつける違法な取り調べで精神的な苦痛を受けたとして、大阪府を相手取り、国家賠償請求訴訟を大阪地裁に起こした。府警では最近も東署や関西空港署で不適切な取り調べがあったとして、当事者の警察官が刑事責任を問われる事態にもなっている。なぜ「教訓」は生かされないのだろうか。
「侮辱的、屈辱的な取り調べ」
「ちょっと今日はマシな話、聞かせて」
代理人弁護士によると、平成25年9月11日、20代の男性巡査長は男性に対し、こう切り出したという。男性への任意聴取は同月9日から始まっており、この日で2回目だった。
男性にかけられた嫌疑は、知人の顔を殴り、けがをさせたという傷害容疑。巡査長はこれも含め、11月7日までに計5回、男性を聴取したが、男性は一貫して容疑を否認。供述調書は1通も作成されなかったという。
しかし、西堺署は26年2月、男性を書類送検。送検容疑は次のような内容とされた。
《25年8月11日正午ごろ、堺市内で「田んぼに油を流された」と立腹し、知人の顔を殴り、軽傷を負わせた》
大阪地検堺支部は26年7月、同じ内容の傷害罪で在宅起訴したが、大阪地裁堺支部は今年2月6日、無罪を宣告した。けがの状況から固い鈍器で殴られたとみられるのに、被害者は「男性の手で殴られた」と説明している点などを「被害者の供述の信用性には疑問がある」と判断した末のものだった。
地検堺支部は控訴を断念し、同月20日、男性の無罪が確定。これを受けて、男性は24日、「巡査長は黙秘権を侵害した。言動は侮辱的、屈辱的で、違法な取り調べだ」として、大阪府に200万円の支払いを求める国家賠償請求訴訟を起こした。
弁護士が「会話記録」公表
提訴前日の23日、男性の代理人弁護士が大阪市内で記者会見し、9月11日の聴取の内容を録音したデータをまとめた「会話記録」を公表した。以下、記録を元に聴取の一部を再現する。
《記録によると、冒頭の巡査長の発言に続き、動機にかかわる「知人に油を流された」かどうかの問答がなされた。巡査長は「油は鉄バクテリアによる自然発生」とした上で、男性を追及している》
巡査長 知人がまいたと因縁をつけるのは、お門違いです
男性 私の土地から油が出たのではなくて、知人の土地から出たんですよ
《やり取りは続くが、男性は巡査長の態度が気に障ったようで、怒りを表す》
男性 そんなん全然分からない
巡査長 ハーン(息を吸うような音)
男性 ばかにせんといてくださいよ、笑って。私分からないですから。分からないと言うたらあかんのですか
巡査長 その説明が理解できない
男性 その笑いというのは、ばかにしてるんです、相手を。ばかにしてますね、その笑いというのは
巡査長 あのね…
任意聴取の相手に…
《しばらくして後、男性と知人との会話を振り返る場面で、巡査長は「殴ったやろ」と男性に迫る》
男性 ちゃんと私の顔を見て物言いなさいて言うねん。下向いたり、横向いたりしてするな
巡査長 じゃあ聞くよ。殴ったやろ
男性 うん?
巡査長 殴ったやろ
男性 殴ってない
巡査長 どついたやろ
男性 殴ってません
巡査長 じゃあ、(知人の)けがはどう説明すんねん
男性 それは知りません
《巡査長はさらに、男性が知人とした会話の趣旨を質問していく》
巡査長 いや、おれの話聞いてくれてる?
男性 ちょっと待ってくださいよ。私が話してるときにその私の話を聞かないで、その姿勢はなんじゃて言うたんですよ、昨日。何考えてんねんと言われた。あなたは何やねん。あなたは何してもかめへんの
巡査長 あなたは被疑者(容疑者)です
男性 被疑者?
巡査長 犯人です
男性 犯人。私は犯人ですね
巡査長 そうです
「あんまり言うと自白の強要になるな」
ICレコーダーの記録時間は2時間20分。弁護士が内容を書き起こした「会話記録」では、中盤以降、知人の傷について尋ねられて「しーらない」「しーらない」と4回繰り返す男性の様子や、巡査長が「知人を問い詰めたが、その際の態度に腹が立った。胸ぐらをつかんで右手で1発、殴りつけた」などと〝筋書き〟を読み聞かせ、「どう、これ。どう」と迫る姿が記載されている。
また、当日の行動を重ねて聞かれたことに対し男性が「(説明)したくない」と拒否した際には、巡査長が「別にいつでもええんやで。いつ認めてくれても。すいません、やりましたて、一言言うてくれれば、それで済む。あんまり言うと自白の強要になるな」と持ちかけたとされる。
聴取は一貫して平行線をたどり、終盤には「黙れ言いはったね。黙りますわ」と反発する男性に対し、巡査長が「黙れって言うのん守るんやったら、命令に答えろ、あほ…」と浴びせたこともあったという。
提訴にあたり男性はコメントを発表。そこには「刑事さんの取り調べは本当にひどいものでした。警察の活動があの程度のものなのかと思うと、ぞっとします。私の問題だけではない」とつづられていた。
「体質の問題」「捜査能力低下」の危惧
今回の「不適切取り調べ」問題には、内外から批判が寄せられている。
「大阪府警は根深い自白中心主義の考え方に染まっている」とみるのは、甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)だ。
府警では22年9月、東署の30代の警部補が、遺失物横領容疑で30代の男性会社員=強要未遂罪などで有罪判決=を任意聴取した際、「人生むちゃくちゃにしたる」と脅迫。警部補は脅迫罪で罰金30万円の略式命令を受けた。
23年5月には、関西空港署の40代の巡査部長が、覚せい剤取締法違反容疑で逮捕したウガンダ国籍の男の取り調べで、足をけったり、耳を引っ張ったりする暴行を加え、特別公務員暴行陵虐罪で有罪判決を受けている。
渡辺教授は、今回の事案を「殴ったやろと何度も繰り返した上で答えろと迫ったりしている。見込みに基づいた自白の押しつけ以外のなにものでもない」と批判。東署や関西空港署の事例も踏まえ、「『取り調べは警察が見込んだとおりに自白させる場である』という考え方が府警に根づいてしまっているのではないか。体質改善を図らなければ同じような事件は何度も起きる」と警鐘を鳴らす。
問われる「技量」と「精神」
拷問や脅迫といった強制的な要素が加わってなされた自白は、証拠から排除されるのが刑事司法の原則だ。また、21年の裁判員制度導入以降、供述(自白)調書よりも法廷での証言や客観証拠を重視する流れが強まっている。
ただ、捜査当局にとって、事案の真相を最もよく知るのは「容疑者」であり、その自白は、国民が刑事司法に強く求めている真相解明に資するのに加え、容疑者自身が反省を深め更生に向かう第一歩になるという考え方は根強い。
今でも自白で事件が解決するケースは多く、捜査当局が自白獲得を目指すこと自体は悪いことではない。今回のケースが問題視されたのは、幅広い見地で情報を収集すべき任意聴取の段階で、相手の説明に耳を傾けないまま容疑者と決めつけ、自白獲得のみに傾注したずさんな取り調べ手法そのものだ。
府警OBのある元刑事は「本当のことを話しているか、うそをついているかは様子をよく観察していれば分かるはずだ」と取り調べ能力に疑問を呈した。
また、捜査経験の長い府警幹部は「80代の年長者を相手に、20代の巡査長が生意気に感じられるような物言いをしてうまく話が聞けるわけがない」と指摘。「男性は過去に小学校の校長を務めていたというのだから、自分より人生経験が豊富だと心して取り組まないといけない。未熟だったと言われても仕方ない」と批判する。
「教訓」が生かされず、繰り返される不適切な取り調べ。問われているのは警察官の「技量」と「精神」という2つの資質かもしれない。
(産経新聞より)
がん診断、尿1滴で=線虫の習性利用―10年後の実用化目指す・九大など
体長1ミリほどの線虫を使い、がんの有無を1滴の尿から高い精度で判別することに成功したと、九州大などの研究チームが発表した。早期のがんも発見でき、実用化されれば簡単で安くがん診断が可能になるという。研究チームは「精度の向上などを進め、10年程度で実用化を目指したい」としている。論文は11日付の米科学誌プロスワンに掲載された。
がん患者の呼気や尿には、特有のにおいがあることが知られており、「がん探知犬」を使った診断手法が研究されている。しかし探知犬は育成に時間がかかり、普及には課題が多い。
九大の広津崇亮助教と伊万里有田共立病院(佐賀県有田町)の園田英人外科医長らの研究チームは、体内に寄生した線虫アニサキスを手術で取り除こうとした際、未発見の胃がん部分に集まっていたことに着目した。
研究チームは、実験動物として使われる線虫C・エレガンスを用意。この線虫は犬と同程度の嗅覚受容体を持ち、好きなにおいに集まり、嫌いなにおいから逃げる習性(走性行動)がある。事前の実験で、がん細胞のにおいを好むことが分かった。
研究チームは健常者218人、がん患者24人の尿を採取。実験皿の上に1滴ずつ垂らし、線虫の走性行動を調べた結果、健常者207人と、がん患者23人を正しく判定した。がん患者をがんと診断できる確率は95.8%に達し、がんの種類や進行度にかかわらず判別できた。
血液を調べる腫瘍マーカーで、同じ患者らを検査した結果は16.2~25%だった。
(時事通信社より)
「はっきりノーと言えないのがハラスメント」
日本弁護士連合会の山田秀雄副会長と、接遇コンサルタントの松岡友子氏が10日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、セクハラや、「パワーハラスメント」(パワハラ)などについて議論した。
山田氏は「職場などの人間関係のなかで、はっきり『ノー』と言えないのがハラスメントだ。身体的接触だけでなく、言葉によるセクハラも心に傷を与える」と指摘した。
松岡氏は「ハラスメントと受け止められるようなコミュニケーションをしないことだ。相手の人格を尊重し、自分の品格を保たないといけない」と述べた。
(読売新聞より)