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<弁護士・交通事故裁判例>症状固定後のカイロプラクティック費用を事故と相当因果関係ある損害と認めた事例
被害者は,平成3年6月21日から平成4年8月25日までYカイロプラクティッククリニックに通院して電気治療を受け,その費用を支出したこと,その治療は医師の勧めによるもので,腕の運動障害や知覚障害を改善する効果があったことが認められる。この治療は,症状固定後の分を含めて,前記認定の症状の内容,程度に照らし,必要かつ相当なものであり,これに要した費用は本件事故と相当因果関係があると認められる。(カイロプラクティッククリニックへの通院交通費113万5420円も同様に認容された。)
(大阪地裁平成6年9月29日判決)
<弁護士・交通事故裁判例>受傷後接骨院に通院して受けたマッサージ等の治療費につき,その2分の1を事故と相当因果関係のある損害であると認めた事例
被害者は,頚部捻挫,腰部捻挫の治療のためB接骨院に通院してマッサージ等の治療を受けたとはいえ,それは被害者の治療を担当した医師の指示によるものではなく,また,本件事故の態様,被害者の事故の部位,程度等の諸事情に鑑みれば,数日間連続してあるいは1週間に2,3回もマッサージ治療を受けなければならないような状況にあったと認めるに足りる確証はないから,施術費用の2分の1に相当する金額に限り,本件事故と相当因果関係にある損害と認めるのが相当である。
(東京地裁昭和59年12月14日判決)
<弁護士・交通事故裁判例>被害者が服用した漢方薬代金につき,医師が漢方薬を使用した場合に要すると思われる費用の2分の1を認容した事例
被害者は,漢方薬の販売店を経営しており,その調合等につき,知識を有するため,医療機関に通院するかたわら,事故発生日から約2年10か月間,毎日自ら調合した漢方薬を服用し続けてきた。漢方薬による治療は,外傷に対する痛みのみでなく,服用する者の他の病気,年齢その他からくる体質全体を改善していくためのものであり,被害者には本件事故に基づく外傷と,体質的な高血圧症および経年性の骨棘形成が存し,被害者自ら投与した漢方薬は,それらの症状改善に有効なものであるが,医師が被害者の治療に漢方薬を使用したならば,その費用は1日当たり,少なくとも2000円であると考えられる。
したがって,事故日から後遺障害症状固定日までの間,医師が投与した場合要する1日当たり,2000円の2分の1について本件事故と相当因果関係がある。(195日分の漢方薬代金を認容。被害者の請求金額640万5700円に対して,19万5000円を認容した。)
(大阪地裁昭和59年5月31日判決)
<弁護士・交通事故裁判例>娘の死亡事故による母親の精神的ショックのための心療内科での治療費と通院交通費を損害と認めた裁判例
被害者の母親は,平成17年10月28日から,心療内科に通院するようになり,現在も通院を計測していること,平成19年5月15日には,うつ病と診断されていることが認められる(なお,被害者の母親は,PTSDに罹患していると主張するが,そのような事実を認めるに足りる証拠はない。)。そして,通院するに至った一因として本件事故を否定することはできず,平成19年5月1日までの通院についても,治療の必要性,相当性がないとまでは認められない。同日までの治療費は18万5420円,通院交通費は2万3900円であったと認められるから,これらの合計20万9320円は本件事故による損害と認めるのが相当である。
<弁護士・交通事故裁判例>インプラント費用を損害と認めた事例
被害者は,本件事故により歯牙の一部を欠損したこと,一旦歯冠補綴の治療が行われたものの,その後,インプラント治療の希望があったため,平成15年12月14日からインプラント治療を行ったこと,上記インプラント治療等のため,同日から平成18年7月13日までの間に,合計31万8680円の治療費を支出したこと及びインプラント治療費は,最終的には,上記支出額に加え,少なくとも50万円必要であることが認められる。そして,証拠によれば,被害者の歯牙欠損部の治療に関しては,①インプラント,②可撤性部分床義歯および③ブリッジの3つの方法が考えられるところ,②については,被害者には四肢麻痺があるため,誤嚥・誤飲のリスクがあり,③については,健全歯削合を要し,二次う蝕のリスクや,支台歯への力学的負担が大きいことなどから,治療法として必ずしも適当ではなく,①が望ましいことが認められる。以上によれば,インプラント費用は,本件事故と相当因果関係がある損害として,今後支出が認められる金額を含め,合計81万8680円を認めるのが相当である。
<弁護士・交通事故裁判例>左肩・臀部・腰部の挫創痕の症状固定後の治療費につき,健康保険の適用される治療法を選択した場合の金額の限度で損害と認めた事例
被害者には,現在においても,本件挫創痕が残存しているところ,これに対しては,いずれも健康保険が適用されるルビーレーザーやアレキサンドライトレーザーを使用したレーザー治療および皮膚剥削術の適用があり,少なくとも外傷性刺青に関しては,これらの治療によって,一定の治療効果が期待できるというのであるから,被害者の上記症状が固定し,もはや治療効果が期待できない状況にあるということはできない。本件挫創痕に係る,本件事故と相当因果関係のある損害の額は,前者については総額21万4656円程度の,後者については総額21万6185円程度の費用を要するというのであるから,傷跡修正手術費用に関し,本件事故と相当因果関係のある損害の額は22万円とするのが相当である。
(大阪地裁平成19年7月17日判決)
<弁護士・交通事故裁判例>受傷後救急治療を受けたものの死亡した場合の治療費を損害と認めた事例
被害者は,本件事故後,病院に搬送され,救急治療を受けたものの,功を奏せずに死亡するに至ったものであり,それらの費用として139万8870円を負担したことが認められるところ,同費用は本件事故と相当因果関係を有する損害である。
(大阪地裁平成19年3月28日判決)
<弁護士・交通事故裁判例>脊髄後索電気刺激法と事故との相当因果関係を認めた事例
被害者は,本件事故後,約7か月間の治療を経ても,自己開眼はするが,追視,従命反応がない状態であったのに,DCS治療開始後の約2か月間で簡易な意思表示が可能になったものであり,被害者の症状の改善が自然経過によるものであるとは考えにくい。DCSの作用機序は必ずしも解明されていないものの,被害者は,DCS療法実施後に改善が見られた症例に多く見られる条件を満たしており,被害者に改善が見られたことからすると,DCS療法が症状に対し,効果があったと認めるのが相当である。以上より,DCS療法は,被害者の症状に対し,一定の効果を及ぼしたものと認められ,被害者の傷害および障害の治療として必要かつ相当なものであったというべきであるから,これらに要した費用についての損害の発生は,本件事故と相当因果関係があるというべきであり,本件事故による治療関係費用としては,合計1198万0812円が認められる。
(大阪地裁平成19年2月21日判決)
<弁護士・交通事故裁判例>低髄液圧症候群の治療費について事故と因果関係が認められないとしながら,被害者の主張する治療費のほぼ全額を損害と認めた事例
問題は,被害者に低髄液圧症候群,外傷性脊椎髄液漏の傷害が認められるか否かであるが,最も典型的な症状であるところの起立性頭痛は被害者には見られず,ブラッドパッチ療法も見るべき効果はなく,被害者に脊椎髄液漏があるとするにはなお合理的な疑問が残るものと言わなければならない。被害者は,本件事故により,頚椎捻挫(外傷性頚部症候群)のほか脊椎髄液漏の傷害を負ったとして治療を受けてきたものであるところ,被害者には低髄液圧症候群は認められず,その主張の症状は頚椎捻挫(外傷性頚部症候群)によるものであると考えるべきであるから,低髄液圧症候群の治療費は,本件事故と相当因果関係が認められない筋合いである。しかしながら,被害者は,自らの症状を訴えて,各医療機関を受診しただけであって,低髄液圧症候群との診断をしてその治療をしたのは医療機関側の判断と責任によるものであるから,被害者が現にその関係の治療費を支払っている以上,それを安易に減額することは相当ではない。
(福岡地裁行橋支部平成17年2月22日判決)
<弁護士・交通事故裁判例>事後的には奏功しない結果となった治療について事故との相当因果関係を認めた事例
被害者は,低髄液圧症候群の治療処置として,ブラッドパッチの処置を受けたが,被害者の症状は低髄液圧症候群によるものということはできず,本件事故前からの症状が本件事故によって増幅された面は否定されないものの,専ら本件事故によって生じたものとは客観的に認め難いところである。他方,被害者の本件自覚症状は,これが虚偽であると認めるべき資料はなく,また,本件事故が上記症状に全く関わっていないと認め得る資料もない以上,従前からの軽微な追突事故による症状がさらに本件事故による衝撃によって増悪したものと推認するほかないが,その理由を解明し得る資料はない。そこで,被害者としては,医療機関を頼り,医療機関においても,通常の治療で寛解しない症状につき,試行錯誤しながら,その専門的知見に基づいて先進的な治療方法を選択し,インフォームドコンセントの下に治療を実施するのは自然の流れであって,事後的には,奏功しない結果になったからといって,その治療行為が不必要であったものとして,本件事故と治療行為との因果関係を否定することはできない。被害者は,平成16年5月末日まで加療を受け,治療費258万1840円を要したことが認められる。症状固定は上記期間内のどの時点かであったものと推認し得るが,治療費については,これらが不必要であると被害者に認識し得る時点までは相当因果関係を認めるのが相当である。
(岡山地裁平成17年1月20日判決)