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<弁護士交通事故裁判例>人身傷害補償保険金支払の遅滞について認めた事例
車被害者は,保険会社に対し,人身傷害補償保険金の請求を症状固定前から行い,その支払を受けており,平成22年10月7日に症状固定に達し,平成22年12月29日には後遺障害等級認定手続(事前認定手続)によって被害者の後遺障害等級も確定したところ,保険会社側は,本件契約上,保険金の請求を受けた日から30日以内に保険金を支払うべき義務を負っているから,遅くとも被害者の後遺障害等級がか確定した日から30日を経過した平成23年1月29日以降は人身傷害保険金6766万7822円の支払を遅滞していると認められる。
※本件は,保険会社に対する保険金請求訴訟
(東京地裁平成24年2月3日判決)
<弁護士交通事故裁判例>遅延損害金の起算日を訴状送達日から30日後とした事例
本件保険契約では,無保険車傷害保険は,人身損害に関し,被保険者が損害賠償請求者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額につき,保険金請求手続をされた日から30日以内に保険金を支払う旨規定されている。これは,その支払額については人身損害にかかる弁護士費用を含み,遅延損害金の起算日は,被害者が,保険会社に対して保険金の支払を請求したことが明らかな訴状送達の日から30日を経過した後から起算すべき旨を規定したものと解するべきであり,被害者は,保険会社に対し,全損害残金426万6570円および弁護士費用42万6657円の合計額である469万3227円およびこれに対する訴状送達日から30日を経過した日である平成21年1月29日から支払済みまで商事法定利率である年6分の割合による遅延損害金の支払を請求しうるものと解するのが相当である。
(大阪地裁平成22年8月26日判決)
<弁護士交通事故裁判例>遅延損害金の発生時期を遅らせる理由にならないとした事例
加害者側は,被害者側が刑事事件が決着するまでには示談に応じない意向を示していたことや,本件訴訟において被害者側の立証のために弁論が再開されたことなどを理由に,損害賠償請求権に対する遅延損害金の発生時期を不法行為時よりも遅らせるなどの処理をすべきである旨主張する。しかし,被害者側が示談に応じるか否かとか,被害者側の訴訟活動に遅延があったか否かにかかわらず,加害者側としては,損害賠償ないしその弁済の提供を行うことに何の支障もない(仮に,示談や判決の前には損害賠償をしないというのが加害者側の方針であるとすれば,むしろ,そのことにこそ問題があるというべきであろう。)のであるし,示談に応じないことが支払期限の猶予の趣旨であるとも認められない。したがって,加害者側が主張するような事情は,遅延損害金の発生時期を遅らせたり,遅延損害金の請求権の行使を制限したりする理由にはならない。加害者側の上記主張は採用できない。
(名古屋地裁平成21年10月16日判決)
<弁護士交通事故裁判例>治療費以外の既払金を遅延損害金に充当した事例
認定した損害額合計額に10%の過失相殺を行ったうえ,損益相殺を行うに当たっては,治療費として支払われていた既払金は損害額の元金に充当し,その余の既払金については,各既払金弁済時に既発生の遅延損害金に充当され,残額元本に充当するのが相当である。
(神戸地裁平成21年8月3日判決)
<弁護士交通事故裁判例>遅延損害金について支払日翌日から請求できるとした事例
加害者側は,保険代位による求償権は期限の定めのないものであり,催告によって遅滞に陥るから,遅延損害金の起算日は,催告の日の翌日とするべきである旨を主張する。しかしながら,保険会社は,保険金を被害者に支払ったことにより,支払った保険金の範囲内で,被害者が加害者側に対して有した損害賠償請求権を当然に代位取得するのであるから,保険会社は,当該保険金とともに,同保険金支払日の翌日以降の遅延損害金を請求することができるものと解される。したがって,加害者側の上記主張は理由がない。
(大阪地裁平成20年6月30日判決)
<弁護士交通事故裁判例>てん補金を遅延損害金に充当されたものと認めた事例
被害者側は,平成14年5月28日に加害者側から200万円の支払を受けたが,本件事故日から受領日までに発生している遅延損害金は,174万6241円である。本件では,被害者側が受領した200万円のうち,174万6241円は上記遅延損害金に充当されたものとするのが相当である。
また被害者側は,平成16年3月4日に自動車損害賠償保障法上の政府保護事業からのてん補金2802万5220円の支払いを受けたが,前記加害者側からの内払金受領日の翌日から上記てん補金受領日まで(646日)に発生している遅延損害金は,434万9916円である。本件では,被害者側が被害者側が受領した2802万5220円のうち,434万9916円は上記遅延損害金に充当されたものとするのが相当である。
(大阪地裁平成18年2月14日判決)
<弁護士交通事故裁判例>自賠責保険金はまず遅延損害金に充当されるとした事例
自賠責保険金については,債務者の弁済とは,制度の目的や成り立ち,仕組みが全く異なっており,民法491条は適用されないから,元本充当がなされるべきとの加害者側の主張に対して,自賠責保険金は,民法491条により,まず既発生の遅延損害金に充当され,その残額が元本に充当されると判断された。
(大阪地裁平成17年9月21日判決)
<弁護士交通事故裁判例>遅延損害金の起算日を書類提出日から30日後とした事例
遅延損害金:(無保険者傷害保険金の請求を受けて加害者とともに被告となっている保険会社側に対して)
無保険車傷害保険の保険金の支払対象額は,賠償義務者が法律上負担すべきものと認められる損害賠償責任の額であることからすれば,被害者側の保険会社に対する請求について認められる年5%の割合とすべきであり,これに対する被害者側の主張は採用できない。
被害者側が,保険会社に無保険車傷害保険金の請求に必要な書類を全て提出した平成15年1月31日から30日後の同年3月1日が履行期となるが,同日が土曜日のために履行期は同年3月3日となり,その結果同年3月4あ履行遅滞の起算日となるとした。
※被害者側は,保険金請求の必要書類について,「自動車保険契約内容に関する回答」の内容は保険会社側は知悉していたから必要書類に含まれないかまたは既に提出されていると主張し,他の必要書類の提出日を前提に遅延損害金を請求したが,前記回答は保険約款にて書面で行うこととされていることから被害者側の主張は通らなかった。
(名古屋地裁平成16年9月8日判決)
<弁護士交通事故裁判例>遅延損害金は請求を受けた時点から発生するとした事例
国は,自賠法72条1項の保障金請求権は同条項によって創設された公的請求権というべきであるから,この性質にかんがみれば,遅延損害金に関する規定がないのは,もともと遅延損害金を付すことが予定されていないからというべきであると主張している。しかし,国に対する保障金請求権は公法上は民法の支払期日および遅延損害金に関する規定が適用されないと解するのは相当ではない。むしろ,国を当事者とする金銭債権について,会計法が,30~32条の規定において,時効について民法の特則を定めながら,他の事項について触れるところがないのは,公法上の金銭債権であっても,時効以外の点については,その金銭債権の性質がこれを許さないと解される場合でない限り,原則として民法の規定を準用する法意に出たものと解するのが相当である。そして,自賠法72条の定めるてん補金支払い義務について,自賠法および関係法廷は存在しないから,自賠法72条に基づく国のてん補金支払義務は,私法上の金銭債権に準じ,その支払期日について別段の規定が存在しない以上期限の定めがない債務として成立し,民法412条3項により請求を受けたときから遅滞に陥り,同法419条により,遅延損害金が発生するものと解するのが相当である。
(大阪高裁平成15年9月30日判決)
<弁護士交通事故裁判例>自賠責保険金をまず遅延損害金に充当するとした事例
自動車損害賠償保障法16条1項の被害者の直接請求権は,被害者保護の見地から,認められたものであり,被害者に対し,保険会社に対する保険金額の限度内での損害賠償額の支払請求権を認めたものであり,自賠責保険金の支払は,被害者に対する関係では加害者の損害賠償債務の支払と同視されるものであるから,その充当関係についても民法491条に従うべきである。よって,自賠責保険金支払日までの損害全体に対する遅延損害金にまず充当され,残額が損害元本に充当されるものと解する。
(大阪地裁平成13年11月28日判決)
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