<弁護士交通事故裁判例>遅延損害金の発生時期を遅らせる理由にならないとした事例

2017-06-19

加害者側は,被害者側が刑事事件が決着するまでには示談に応じない意向を示していたことや,本件訴訟において被害者側の立証のために弁論が再開されたことなどを理由に,損害賠償請求権に対する遅延損害金の発生時期を不法行為時よりも遅らせるなどの処理をすべきである旨主張する。しかし,被害者側が示談に応じるか否かとか,被害者側の訴訟活動に遅延があったか否かにかかわらず,加害者側としては,損害賠償ないしその弁済の提供を行うことに何の支障もない(仮に,示談や判決の前には損害賠償をしないというのが加害者側の方針であるとすれば,むしろ,そのことにこそ問題があるというべきであろう。)のであるし,示談に応じないことが支払期限の猶予の趣旨であるとも認められない。したがって,加害者側が主張するような事情は,遅延損害金の発生時期を遅らせたり,遅延損害金の請求権の行使を制限したりする理由にはならない。加害者側の上記主張は採用できない。

(名古屋地裁平成21年10月16日判決)

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