Archive for the ‘未分類’ Category

<弁護士交通事故裁判例>自賠責保険金請求訴訟において支払基準によらず保険金を算定した事例

2017-10-20

裁判所が自賠法の支払基準によることなく認定判断をすることの可否
 自賠法16条1項に基づいて被害者が保険会社に対して損賠賠償額の支払を請求する訴訟において,裁判所は,同法16条の3第1項が規定する支払基準によることなく損賠賠償額を算定して支払を命じることができるというべきである。そして同条15条所定の保険金の支払を請求する訴訟においても,上記の理は異なるものではないから,裁判所は,支払基準によることなく,自ら相当と認定判断した損害額及び過失割合に従って保険金の額を算定して支払を命じなければならないと解するのが相当である。(原審判決を破棄。)

※自賠法の支払基準における重大な過失による減額ルールでは,被害者の過失割合が7割未満は減額無し,7~8割は2割減額,8~9割は3割減額,9~10割は5割減額とされている。原審判決(高松高判平成22年11月16日)は,被害者の損害額を7500万円,過失割合を8割としたうえで,支払基準を適用し保険金額3000万円から3割減額した2100万円を既払保険金額1500万円を控除した600万円を支払うべきであるとした。

(最判平成24年10月11日判決)

<弁護士交通事故裁判例>人身傷害補償保険金の請求において訴訟基準差額説を採用しなかった事例

2017-10-19

人傷保険金額の算定方法:被害者側は,過失相殺等により,損害賠償金が減額される場合であっても,被害者側が人傷保険金と損害賠償金により,裁判基準損害額を確保することができるように解する訴訟基準差額説を主張するが,あくまでも支払保険金の算定は,保険契約者と保険会社との契約,すなわち約款に定める計算規定によって定められるべきである。被害者側が主張する訴訟基準差額説は,「約款解釈の不合理性」「簡易迅速に保険金支払額を算定できる傷害保険の性格に反する」「人傷保険の保険料金体系に見合わず保険業界が混乱に陥る」「算定基準も保険会社毎に異なっている」という理由により,約款の解釈論としてはおよそ採用の余地のないものというべきである。
 本件は,計算規定⓶により,人傷基準算出損害額3565万0325円に被害者側の過失相殺を3割として被害者側に支払うべき保険金額は1069万5098円となる。

計算規定⓵:保険金を支払うべき損害の額は,人傷損害額算定基準に従い算出した金額の合計額とする。支払う保険金の額は損害額からすでに取得した損害賠償金等の額を差し引いた額とする。

計算規定⓶:賠償義務者がある場合には,保険金請求権者は,保険会社の同意を得て,人傷損害額算定基準に従い算出した金額のうち,賠償義務者に損害賠償請求すべき損害に係る部分を除いた金額のみを保険金を支払うべき損害の額として請求することができる。

(大阪高裁平成24年6月7日判決)

<弁護士交通事故裁判例>ペットシッター代は事故と相当因果関係がないとした事例

2017-10-18

被害者は,被害者が飼っていた犬を被害者の入院中飼育するための費用を請求しているが,ペットの飼育は,加害者が予見することのできない事情であるから,本件事故との相当因果関係がない。

(横浜地裁平成24年2月27日判決)

<弁護士交通事故裁判例>損害賠償請求権の消滅を認めた事例

2017-10-13

被害者の症状固定日が本件事故から14年6か月後の平成12年5月2日となったのは,被害者が成人に達した後に下肢長を測定して下肢の短縮障害の程度を判断する必要があったためにすぎない。被害者の下肢の短縮障害は,骨盤骨折によって骨盤が変形したために生じたもので,昭和61年4月5日(K病院での症状固定診断日。骨盤骨折による跛行を指摘)には顕在化していたと推認される。被害者の損害賠償請求権の排斥期間は,本件事故日の昭和60年10月23日が起算日になるというべきである。本件保険会社の担当者が平成3年10月24日に示談案を提示したことじゃ損害賠償請求権の承認に当たるというべきであるが,排斥期間には中断がないと解される。被害者は,排斥期間の経過前,遅くとも症状固定日には,損害賠償請求権を行使できたはずであり,加害者側が20年の経過により損害賠償義務を免れることになったとしても,著しく正義・公平の理念に反するとは認められない。

(東京地裁平成23年11月28年判決)

<弁護士交通事故裁判例>将来のおしめ・ウロガード代を認めた事例

2017-10-11

将来のおしめ・ウロガード代:223万3476円
 被害者は,本件事故直後より意識障害になり,四肢自動運動不能で寝たきり状態,常に尿便失禁状態にあるところ,おしめ代月額1万8900円,ウロガード代月額2100円とすると,その合計は2万1000円となることが認められる。また被害者は,症状固定後である平成21年12月1日時点で70歳となり,介護期間の年数に対応する中間利息を控除して算定すると次のとおりとなる。
2万1000円×12×8.863(平均余命12年のライプニッツ係数)=223万3476円

成年後見申立費用:4万9350円
 本件事故に起因して,被害者の妻が被害者の成年後見人になることを余儀なくされ,その申立てに合計4万9350円の費用を要したことが認められ,これらは本件事故と相当因果関係のある損害である。

植木の剪定費用:19万円
 本件事故前,被害者が植木の剪定を行っていたところ,本件事故後,平成20年および平成21年の2度にわたり,これを植木職人に依頼せざるを得ず,その費用として合計19万円を要したことが認められ,これらは本件事故と相当因果関係のある損害である。

(神戸地裁平成23年8月29日判決)

<弁護士交通事故裁判例>被害者の将来の施設費用を認めた事例

2017-10-06

被害者は,介護施設の月額費用として毎月概ね30万円程度の費用を支払っている事実が認められるところ,この中には,生活費等として5万円が含まれていることからすれば,本件事故と相当因果関係が認められる月額費用は,25万円とするのが相当である。被害者の後遺障害の程度に鑑みれば,被害者は,今後も施設における入所を継続せざるを得ないものと認められることからすれば,平均余命である10年間の将来費用が,本件事故と相当因果関係が認められる損害として算定されるべきである。加害者側は,算定に当たっては,介護保険等を利用した際の自己負担額に限定して損害が算定されるべきである旨主張するが,現在適用のある社会保険の給付内容や水準が将来的にも維持されることが必ずしも確実とはいえないことからすれば,加害者側の主張は採用し難い,
25万円×12ヵ月×7.7217(10年間のライプニッツ係数)=2316万5100円

(大阪地裁平成23年7月26日判決)

<弁護士交通事故裁判例>弁護士相談料と文書料を認めた事例

2017-10-03

自賠責保険請求費:4万2930円
 弁護士相談料1万円および文書料3万2930円の合計4万2930円を本件事故と相当因果関係がある損害と認める。

刑事裁判傍聴費用:0円
 刑事訴訟法292条の2被害者等の意見陳述や兄の傍聴は,死亡交通事故の遺族としては当然の心情に基づくものであり,意見陳述は近時の被害者保護政策の一環として法的権利にまで高められた権利ではあるが,被害者等の意見陳述や傍聴その費用をだれが負担するかは,議論の余地があるものの,本件事故と相当因果関係のある加害者らが賠償すべき損害とまではいえない。

(大阪地裁平成23年3月28日判決)

<弁護士交通事故裁判例>被害者の将来の雑費について24年間認めた事例

2017-10-02

将来の雑費:513万181円
 被害者は,残存する後遺障害が原因となって,将来の雑費が必要となった旨主張するところ,大人用オシメ,オシメカバーおよび尿パッドについては,年額18万円ならびに食事摂取用器具については年額19万1790円となり,これらについては,24年間の利用が見込まれる。
37万1790円×13.7986(24年間のライプニッツ係数)=513万181円
 日用品基本料および入浴セットの記載があるが,日用品基本料は生活費として計上されるもので後遺障害逸失利益において算定済みであり,入浴セットは,自宅介護用具費用において算定されるべきである。

自宅介護用具費用:377万7445円
 被害者の症状に鑑みれば,被害者が自宅において介助を受ける際には,介助用具を購入する必要が認められるところ,少なくとも377万745円が認められるべきである。

(大阪地裁平成23年1月27日判決)

<弁護士交通事故裁判例>将来の雑費として日額1500円で認めた事例

2017-09-29

将来の雑費:973万1265円
 被害者は神経因性膀胱炎により,毎日3,4本のペットボトルの水を飲むほか,カテーテルを使用してペットボトルに自己導尿しており,このほか,生涯,おむつ代(1日1221円)の支出を要することが認められる。飲料水がペットボトルの水に限られるか疑問がなくはないことを考慮すると,被害者の平均余命の45年間,1日あたり1500円を必要とすると認められる。
1500円×365日×17.7740=973万1265円

自宅改造費:1000万円
 既存の家屋の東側にリビング,寝室,浴室,玄関,ホールを増築し,既存家屋の一部をダイニングに改築し,増築部分と連絡する見積額は3365万円余りである(改造の規模を縮小し,安価な資材を使用すると2353万円余り)。被害者の後遺障害の内容,程度に照らし,上記の増築事態の必要性は認められるが,家族が得られる利便性を控除すべきことを考慮すると,本件事故と相当因果関係のある自宅改造費としては,1000万円をもって相当と認める。

(さいたま地裁平成22年9月27日判決)

<弁護士交通事故裁判例>被害者の父親の逸失利益等を認めた事例

2017-09-28

⓵入力支援機器:21万9870円
 証拠および弁論の全趣旨によれば,被害者は,入院中,顎を使ったパソコン操作の訓練を受け,担当医師から退院後のリハビリテーションとして顎を動かして操作するパソコンの利用を勧められ,顎を動かして操作できる入力支援機器を購入し,合計21万9870円を負担したことが認められるところ,被害者の身体機能は首から上しか残ってなく,文字を書くことができないことからすると,顎を使用する入力機器は,被害者が日常生活を営むために必要な器具と認めることができ,かつ,この金額が高額であることを窺わせる事情も見当たらないことからすると,入力支援機器の購入費の全額が相当な損害と認めることができる。

⓶父親の逸失利益:1714万9303円
 被害者の父親は,⓵平成17年9月30日,被害者の看護に専念するために稼働先を退職したこと,⓶昭和23年4月12日生まれで,定年(60歳)まで2年7か月の期間を残していたこと,⓷給与収入は年額955万8440円であったことが認められる。被害者の状態は良くなく痙性などもあり,介護人が怪我をすることもあったりして,被害者の介護はかなりの労力を要しており,両親のみならず,時には職業介護人を依頼することも必要であったと認められるから,介護のために父親が稼働先を退職することはやむを得ないことであり,本件においては,父親が退職したことにより収入を失ったことは,本件事故によって生じた損害と言うべきである。ただし,上記損害は実質的には近親者付添看護費であって,近親者付添介護費(日額1万400円)と重複するから,その額は差し引くのが相当であるが,近親者の付添い看護は両親二人で行っていることを考慮すると,通常認められる日額8000円を差し引くのが相当である。
955万8440円×2+955万8440円÷12×7=2469万2636円
2469万2636円-2920万円×(2年+7か月÷12か月)=1714万9303円

(東京地裁平成22年2月12日判決)

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