<弁護士・交通事故裁判例>被害者が服用した漢方薬代金につき,医師が漢方薬を使用した場合に要すると思われる費用の2分の1を認容した事例

2015-05-18

 被害者は,漢方薬の販売店を経営しており,その調合等につき,知識を有するため,医療機関に通院するかたわら,事故発生日から約2年10か月間,毎日自ら調合した漢方薬を服用し続けてきた。漢方薬による治療は,外傷に対する痛みのみでなく,服用する者の他の病気,年齢その他からくる体質全体を改善していくためのものであり,被害者には本件事故に基づく外傷と,体質的な高血圧症および経年性の骨棘形成が存し,被害者自ら投与した漢方薬は,それらの症状改善に有効なものであるが,医師が被害者の治療に漢方薬を使用したならば,その費用は1日当たり,少なくとも2000円であると考えられる。
 したがって,事故日から後遺障害症状固定日までの間,医師が投与した場合要する1日当たり,2000円の2分の1について本件事故と相当因果関係がある。(195日分の漢方薬代金を認容。被害者の請求金額640万5700円に対して,19万5000円を認容した。)
(大阪地裁昭和59年5月31日判決)

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