<弁護士・交通事故裁判例>治療間隔が10か月以上空いた後の治療につき,その間被害者が通常の社会生活を営んでいたと推認できること,体調が良かったこと等より事故との相当因果関係を認めなかった事例
2015-04-27
被害者が入通院した事故発生時から平成2年5月1日までの治療・検査はいずれも本件事故と相当因果関係を認めるのが相当であり,被害者固有の心因的要因により不必要,不相当な治療がなされたことを認めるに足りる証拠はない。尚,加害者は,被害者が自ら脳波検査を希望している点をも挙げて,被害者の心因的要因による影響と指摘するが,頭部痛等が長期にわたって継続していることより,被害者が医師に検査を要請するのは理解しえないわけではなく,右希望から直ちに治療ないしは検査が不必要と判断することは出来ない。
他方,平成3年3月12日後の治療については,本件事故とは明らかに因果関係のない胃痛ないし胃障害も診断されていること,A病院の最終診療日(平成2年5月1日)からB病院で再度診察を受ける(平成3年3月12日)まで10か月以上の期間が経過していること,この間,被害者は頭痛等の症状で診察,治療を受けた形跡が認められずカラーを外したうえ継続して仕事を含む通常の社会生活を営んでいたと推認されるこ,平成3年の春には被害者の体調が良かったことに照らすと,本件事故との因果関係は認められない。
(東京地裁平成7年9月6日判決)