<労基法改正案>「残業代ゼロ」盛る…閣議決定

2015-04-03

◇「ホワイトカラー・エグゼンプション」に労組から批判の声

 政府は3日、高年収で専門的な仕事に就く人を労働基準法の時間規制から除外する、「ホワイトカラー・エグゼンプション」(残業代ゼロ制度)を盛り込んだ労基法改正案を閣議決定した。柔軟な働き方を促進することを目的に、今国会での成立を目指す。労働者保護の根幹をなす「労働時間規制」から除外する制度の創設に、労働組合などからは「長時間労働を助長する」と批判の声が上がっている。

 改正案は、残業代ゼロ制度や裁量労働制の対象拡大など、労働時間を柔軟にする規制緩和が中心。残業代ゼロ制度は研究開発や金融ディーラー、ファンドマネジャーなど専門的な仕事に就き、平均年収の3倍を「相当程度上回る」者を対象とし、年収要件は省令で「1075万円以上」と定めた。対象者は労基法の労働時間規制(1日8時間、週40時間など)から除外され、時間規制がなくなるため「残業」の概念がなくなり、深夜労働、休日労働への手当も出なくなる。

 また、あらかじめ想定される労働時間に賃金を支払う仕組みの裁量労働制の適用対象を、新商品の企画立案と一体で営業を行う営業職などにも拡大する。裁量労働制は、仕事への裁量が小さい業務への適用は、働き過ぎを助長するとの指摘もある。

 その他に、大企業では実施されている60時間を超える残業の割増賃金を50%以上とする規定を、中小企業にも適用するとしている。

 塩崎恭久厚生労働相は「ワーク・ライフ・バランスの観点から働き過ぎを是正し、新しい働き方の選択肢を増やすものだ」と説明した。
(毎日新聞より)

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