<成果型労働制度>労働者保護ルールに穴開く 厚労省骨子案

2015-01-18

 「岩盤規制に穴を開ける」。厚生労働省は16日、働いた時間に関係なく仕事の成果で賃金を決める成果型労働制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)の導入を盛り込んだ労働基準法改正の骨子案を労働政策審議会に提示した。

 労働時間規制(1日8時間、週40時間)から除外する業務について1075万円以上の年収や仕事の専門性を条件にすることを掲げた。政府は雇用の規制改革に向け繰り返しこう述べているが、厚生労働省が提示した骨子案が実現すれば、労働者を保護するルールに穴が開く。

 政府は、柔軟で効率的な働き方の実現を目的に掲げる。経営側も、労働時間と賃金を切り離すことで「ダラダラと残業するような働き方」を改めたいとしている。

 しかし骨子案は、過労死防止を国の責任とした過労死防止法の流れに逆行する。過労死は高止まりが続く。労働時間規制が外される業務で長時間労働が増える懸念は消えない。

 労働側が「残業代ゼロより過労死ゼロ」と新制度を批判するのもこうした背景からだ。新制度は多くの懸念材料を抱えている。健康確保措置の実効性も含め、拙速に議論を進めてはならない。

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