<確定拠出年金>自己責任で資産運用…対象者拡大、閣議決定

2015-04-04

 政府は3日、確定拠出年金の対象者を広げ、主婦や公務員ら年金加入者ならば誰でも加入できるようにする確定拠出年金法改正案を閣議決定した。公的年金の大幅な目減りに備え、老後の生活費を確保できるようにするのが狙い。ただ、自己責任で資産を運用しなければならず一定の知識がいるほか、掛け金負担もある。低年金に陥ると懸念される低所得者の救済策には遠い。

 確定拠出年金は、主に企業が掛け金を払う「企業型」(加入者464万人)と、自営業者らの「個人型」(同18万人)がある。現在、個人型には勤務先に他の企業年金がある人や専業主婦、公務員は加入できないが、改正法が成立すれば入れるようになる。2017年の施行を目指し、対象者は約2800万人増える。

 公的年金は、物価や賃金の伸びより年金の伸びを抑える仕組みにより、これから約30年間削減が続く。会社員が入る厚生年金は最終的に2割減、非正規雇用労働者や無職の人が多い国民年金は3割減となる。

 国民年金の場合、「所得代替率」(現役世代の平均手取り月額に対する年金額の割合)は今でも18.4%と低いが、30年後には12.9%と生活が困難な水準まで下がる。さらに08年のリーマン・ショック以降、企業年金がある会社は減り続け、13年時点で25.8%に過ぎない。こうした現状を踏まえ、政府は個人型の加入対象者を広げるほか、従業員100人以下の企業向けに手続きが簡単な「簡易型」を創設する。

 専業主婦の掛け金上限額は月2万3000円程度とする。昨年10月には企業型の掛け金上限を4000円増の5万5000円としており、誰もが老後に月数万円の上乗せ給付を受け取れるようにしたい考えだ。

 ただ、確定拠出年金には、所得が低く国民年金保険料を免除されている人(約400万人)は加入できない。会社が運用に責任を持ち、失敗して資産が減れば勤め先が穴埋めする確定給付企業年金と違い、すべて自己責任で将来の年金額が補償されているわけではない。加入しながら運用を放棄している人も40万人以上いる。対象を拡大しても、公的年金を補えるような人は一定割合にとどまるとみられる。
(毎日新聞より)

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