<弁護士交通事故裁判例>症状固定までのタクシー通勤を損害と認めた事例

2016-12-01

被害者は、平成22年10月の段階で既に通院のために公共交通機関を利用しており、治療期間全体について、タクシーでの通勤の必要があったかどうかについては疑問の余地もある。ただ、本件においては休業損害が15日にとどまっており、傷害の内容や治療期間、治療経過、最終的な後遺障害の内容等を考慮すると、類似事案の中では相当低い水準にとどまっている。これは業務の内容や本人の努力、その程度の休業しか要しなかったという側面もあるにせよ、タクシーでの通勤をしたことによって症状管理や体調の維持等が容易になり、その分全体としての休業範囲が抑えられた結果であるとも評価できる。そうすると、症状のみから見て必ずしも必要不可欠であるとまではいえなくても、損害拡大防止義務の観点に照らして考えた場合、本件に関する限り、タクシー通勤は理にかなったものと評価ができ、休業損害と合わせた総額も必ずしも多額でないことに照らしても、この費用については、全体として相当性があるものと認める。

(大阪地裁平成25年10月29日判決)

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