<弁護士交通事故裁判例>将来介護料を母親が67歳以降は1万8000円認めた事例
2016-10-20
被害者は常時介護を要するのであり,母親による介護内容は多岐にわたり,拘束時間が長く,その労力および心理的負担は相当程度に大きいというべきであるうえ,職業介護人による介護費用も要するという状況にある。一方,現時点では法令による公的給付は相当程度に及ぶものの,将来においてもなお係る給付が確定的に存在するか必ずしも明らかではないという事情を考慮に入れると,公的給付の存在を過大に業過するのも相当ではない。
以上を前提にすると,退院からは母親が満67歳に達するまでの間は,その介護料としては,日額1万5000円を認めるのが相当である。また,母親が満67歳に達した後は,全面的に職業介護人によらざるを得ないところ,その介護料としては,日額2万円と認めるのが相当である。加害者側は,自宅介護ではなく施設介護の方が合理的であると主張するが,被害者の在宅介護は退院から現在に至るまで現実に継続しているのであって,一概に在宅介護が不可能ないし困難とまでは言い難い。自宅での介護の方が家族と接する機会も多く,生活の質の面でも自宅介護の方がより充実していることに照らせば,在宅介護を前提にした被害者側の請求が不相当とまではいえない。
(仙台地裁平成21年11月17日)