「外れ馬券は必要経費」最高裁、例外認める初判断

2015-03-10

 インターネットで大量に購入した馬券の払戻金を申告せず所得税約5億7千万円を脱税したとして所得税法違反罪に問われた大阪市の元会社員の男性(41)の上告審判決で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は10日、男性の購入手法を「営利目的の継続的行為」として雑所得にあたるとし、30億円近い外れ馬券の購入費を所得から控除できる必要経費と例外的に認定する初めての判断を示した。その上で申告すべき課税額を約5200万円と大幅に減額した1、2審判決を支持、検察側の上告を棄却した。

 5人の裁判官全員一致の意見。今回の判決は、的中を狙って毎週購入する程度の公営ギャンブルファンや、インターネットで購入しているというだけでは関係ないが、インターネットや予想ソフトを利用して継続的に大量購入する同様の手法は競馬以外の公営ギャンブルにも広まっており、国税当局の課税判断に影響を与えそうだ。

 また、法務省によると、同種の購入方法に対する課税をめぐって、課税処分取消を求める民事訴訟が全国で4件あり、被告の男性は1審で勝訴。ほかの3件は地裁で審理が続いている。

 判決によると、男性は予想ソフトを使用してネットで長期間にわたり大量の馬券を購入。平成19~21年、約28億7千万円分の馬券を買い、約1億3千万円の当たり馬券で約30億1千万円の払戻金を得ていた。

 同小法廷は、男性の購入手法について、「独自の条件設定や計算式を用い、的中に着目しない網羅的購入を行った」と指摘。1日で多いときに1千万円以上、年間で10億円前後の馬券を購入している特殊性を鑑みて、雑所得にあたると判断した。その上で、「外れ馬券を含むすべての購入代金が、当たり馬券に対応し、外れ馬券も必要経費として控除できる」と結論づけた。
(産経新聞より)

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