<最高裁大法廷>賠償額は「元本から差し引く」に

2015-03-10

◇労災事故遺族への損害賠償 遺族補償年金の扱い巡り判断

 労災事故の遺族に損害賠償が認められた場合、別に受け取った遺族補償年金を賠償額からどう差し引くかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は4日、「元本から差し引く」との判断を示した。計算方法を巡って小法廷の判断が分かれていたが、賠償額が減る方式に統一され、被害者側に不利な結果となった。

 賠償額は損害の元本に当たる「損害額」と利息の「遅延損害金」を合算する。二重給付を避けるため賠償額から労災保険の給付金を差し引く計算方法については、2010年に「元本から差し引く」、04年に「利息から差し引く」と異なる小法廷判決が出ていた。

 大法廷は「労災保険と損害賠償は、いずれも人の死によって失われた利益を補填(ほてん)する制度で相互に補完する関係にある。遺族補償年金を元本から減額して賠償額を調整すべきだ」と述べ、「利息から差し引く」とした遺族側の上告を棄却した。裁判官15人全員一致の意見。元本が少なくなると利息も減るため、利息から減額する方法に比べて賠償額は低くなる。交通事故を巡る損害賠償訴訟などにも影響を与える可能性がある。

 急性アルコール中毒で死亡した会社員(当時25歳)の両親が、過労死だとして勤務先に損害賠償を求めた。1、2審とも「過労死」と認定し、1審は04年判決、2審は10年判決に基づいて賠償額を算定した。

 ◇遺族側の弁護士「判決の理屈に納得できず、非常に残念だ」

 遺族側代理人の川人博弁護士は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、「判決の理屈に納得できず、非常に残念だ」と話した。今回の訴訟で元本から遺族給付金を差し引いた場合、利息から差し引くよりも200万円程度減額されるという。

 川人弁護士は「裁判実務上、元本から差し引いた方が計算が楽。被害者救済より実務の迅速化を優先した判決ではないか」と指摘。「労災給付を受ける人たちへの悪影響は大きい」と強調した。
(毎日新聞より)

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