Archive for the ‘未分類’ Category

運送会社の宅配業務のほか父親経営の米販売店の配送業務を行っていた被害者について,宅配業務の給与をもとに休業損害を認めた事案

2019-05-22

被害者は,宅配業務に従事するとともに,父親が経営する米屋で精米・米穀類等の販売,配達業務に従事していた。

年額¥3,185,659(事故前年の収入)

被害者は,本件事故により米屋の売上が大幅に減少したとして,同店の固定経費の60%を基礎収入に加算すべきであると主張するが,同店の売上等については父親が確定申告をし,被害者は,父親から給与の支払を受ける形となっていたことからすると固定経費を加算することにつき合理的理由があるとまではいえない。

映像コンテンツの企画演出に関わる業務を行っていた被害者がDVD制作のためのシナリオ制作等が困難となり契約解除となった損害を認めた事案

2019-05-20

契約解除に伴う損害:①ロケハン費用¥480,041

被害者は,制作会社と撮影会社との間で制作販売を企画し,被害者が,シナリオ作成,ロケハン等を行うことになっていたが,本件事故による損害に基づく疼痛でロケハン等を予定時期までにできなくなり,そのために本件契約を解除された。本件契約解除は,本件事故に基づく被害者の傷害に起因する履行遅滞に基づく解除として,本件制作会社が,被害者に対し,損害賠償を求めることは可能であり,その損害賠償債務については,本件事故による被害者の損害と評価し得る。

          ②演出料¥10,800,000

被害者は本件契約解除により,本件演出料¥12,000,000の支払いを受けることができなかったのだが,支払いを免れた費用¥12,000,000を控除した¥10,800,000が本件事故との間に相当因果関係がある損害といえる。

          ③著作権料¥300,000

被害者は,本件著作権料として本件DVDの販売高の0.8%を受け取れることになっていた。本件DVDの内容比べてみれば,一定の販売高は達成していたであろうといえるので,本件事故と相当因果関係のある損害としては,控えめに算定して¥300,000とするのが相当である。

不法滞在外国人の50歳女子の休業損害について1か月当たり¥80,000の収入があったものとして算定した事案

2019-05-09

H13.6.15に息子を探すために来日し,不法滞在状態でアルバイトを行っていた。

月額¥80,000被害者側の主張するH14.2.15以降の稼働先,基礎収入,継続性はいずれも証明されておらず,休業損害の基礎収入が日給¥10,000であったと認めることはできないが,来日にあたっての手持ち資金も少なくなって,日本滞在を継続し,生活してきたことなどの事実関係に照らせば,被疑者は,自らの生活費として,1か月当たり¥80,000程度のアルバイト収入があったものと認められるのが相当である。

事故時の収入について,明確な立証ができなかったクラブホステスの基礎収入について,賃金センサス女性学歴計,全年齢平均賃金で認めた事案

2019-04-25

被害者は,クラブでホステスとして勤務していたが,事故日のH15.4.24から仕事を休業し,H15.5.18に婚姻し,仕事をH15.8末に辞め,H15.10.22から別の店で働き始めた。

¥3,490,300(1日当たり¥9,562)(H15賃金センサス産業計・企業規模計・女性労働者の学歴全年齢平均賃金)被害者は,H14年の給与総額¥6,380,400を基礎とすべきと主張する。しかし,H14年分の所得の申告は0円であるなどの事情にかんがみれば,事故時の基礎となる収入を被害者主張の金額とすることは困難である。 

しかし,被害者は事故当時,クラブにおいてホステスの仕事をしており,1か月に20日程度出勤していたことが認められることから,被害者の基礎収入分を家事労働者として,上記平均賃金によることが相当である。

カナダから来日したキックボクサーにつき,被害者主張の年間$150,000の賃金の2/3の$100,000を休業損害として認めた事案

2019-04-23

被害者は,カナダ在住のキックボクサーであり,世界空手道団体連合との間で,被害者は同連合からの指示に従いキックボクシングの興業を行うものとし,キックボクシングの興業を行わないことを旨とする雇用契約を結びカナダから来日した。本件は来日中の事故である。

$100,000 被害者は,連合と年間$150,000の雇用契約を結んだとするが,連合から被害者に対して年間$150,000支払われる可能性については疑問がある。事故と因果関係のある損害として,被害者主張の2/3の$100,000の限度で認めるのが相当である。

1年間100%については認めない。具体的期間について判示なし。被害者においては,右肩腿および右足関節の傷害の影響は重大である。ただし,診断書の記載から1年間キックボクサーとして就労が不可能であるとまでは認められない。もっとも契約の就労開始時期には,いまだキックボクシングができる状態になかったと認めることができ,これを理由に契約を解除されることもやむを得なかったといえるが,被害者の客観的症状に照らして,休業損害として1年分100%を認めるのは相当ではない。

アルバイトの休業損害について収入の変動があることを理由として事故前6か月半の平均日額を基礎として算定した事案

2019-04-17

被害者は,本件事故当時,飲食店にアルバイトとして勤務し,食材の仕込み仕事を担当していた。 

日額¥6,699被害者のH15.6からH15.10までの4か月間の収入は¥834,400,H15.12からH16.2までの2か月半の収入は¥472,000であったが,被害者の勤務状態がアルバイトであることを考慮すれば,勤務日数による収入に変動があると考えられるため被害者の1か月当たりの平均的な収入は,直前の2か月半でなく,6か月半の平均である¥200,984,1日当たりの収入は¥6,699と認めるのが相当である。

被害者は事故後2日間出勤したものの,仕事を継続することが困難となり,事故の3日後に退職,その後H16.4に入りピザの宅配の仕事を始めている。被害者のH16.4以前の最終通院日1週間後であるH16.4.3には仕事を再開したと推認されるため,被害者は,事故当日およびH16.2.24からH16.4.2までの40日間にわたり休業したと認めるのが相当である。

塗装工の休業損害について架空申告の主張を認めたうえで経費率を5%として算定した事案

2019-04-15

S 63.5からM建装に日給制で雇用されており,長年の熟練工として,現場の責任者を任されていた。

年額¥5,732,775被害者は本件事故の前年にM建装から支払を受けた額は¥6,034,500でうち¥3,440,440を経費(経費率約57%)として¥1,874,060を所得として税務申告しているが架空申告であるとしている。納税義務を果たさず,不当に利得を得たうえで,損害賠償請求訴訟においては,これに反する主張を行うことは不誠実ではあるが,経費として,通信費および消耗品費制度であることからすると,経費率は収入額の5%程度と認められる。

37歳のパーティーコンパニオンの休業損害について賃金センサス女性労働者年齢別平均賃金をもとに算定した事案

2019-04-11

フリーでビデオ編集の仕事とパーティーコンパニオンの仕事をしていた。

¥3,899,100H10年度における35歳ないし39歳女性労働者賃金センサスにおける平均賃金被害者の事故前3か月のパーティーコンパニオンの仕事での収入額に鑑みるならば,被害者がこの金額を超える金額を得ていたことを認めることができる。

 

 

 

<弁護士交通事故裁判例>現実収入の認められない住所不定者に,稼働の能力があり,従前の稼働実績があることから男性労働者の平均賃金の5割相当額を基準として休業損害を算定した事案

2019-04-09

被害者は,H11夏頃までは建築会社に勤務し,日給¥12,000程の収入を得ていたが,不況で仕事がなくなって家賃が支払えなくなり,以来住所不定でいわゆるホームレスであったが,稼働の能力を有し,本件事故の4カ月前の交通事故前はある程度の稼働実績があったものと認められる。

被害者の現実の収入額を認めるに足りる証拠はないが,被害者の生活状況等を考え,¥2,800,300程度の稼働収入を挙げたのに本件事故による休業により,これを妨げられたとみるのが相当である。2,800,300は,日額で見ると,H12の愛知県の最低賃金日額¥5,411の概ね1.4倍相当額であり,H11以前の被害者の収入の6割強である。

 

<弁護士交通事故裁判例>従業員8名が受傷した事故で、従業員の労働の提供を受けられないことにより利益を上げられないという雇い主の損害を認めなかった事案

2019-04-03

原告は建築業を営んでいたが、従業員23名のうち3分の1以上の従業員が十篤な障害を負い
もっとも重要な役割を果たす2級鉄筋技能士が本件事故の後遺障害により稼働が困難となったこと、
他の従業員はほかの現場に入っており代替え作業が困難であること、同様の資格を有する者は
たやすく採用できないことにより営業損害を請求するも間接的な損害にすぎないとされた。
雇い主は、速やかに他の代替措置を取ることにより損害の拡大を防いで自らの利益を維持するべきである。
それを果たせるか否かは、個々の雇い主の努力によって異なってくるのであり果たせない雇い主のみ損害賠償請求権が
あるとするのは妥当ではない。所詮、間接的な損害に止まる雇い主の損害は、相当因果関係を欠くものとして、
不法行為法による救済の外にあるというほかない。

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