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<弁護士交通事故裁判例>事故から20年以上後の訴訟提起を除斥期間内と認めた事例
被害者は,平成24年8月8日に後遺障害について症状固定の診断を受け,その診断書を任意保険会社に提出して,平成24年9月26日頃に併合10級に相当するとの認定を受け,それから6か月以内の平成25年2月23日にに本訴を提起したが,本件事故日からは20年以上が経過している。そこで検討するに,平成24年8月8日に症状固定の診断を受けても,事前認定の結果が出る前に訴えの提起を求めるのは困難であることおよび事前認定を受けた平成24年9月26日頃から訴えの提起を準備するとしても,6か月の期間は通常必要と認められることからすれば,被害者は症状固定の診断書を任意保険会社に提出して事前認定の手続を進めさせてから平成25年2月23日本訴提起までの経過は,被害者が損害賠償請求権を行使する一連一体の行為と捉えることができ,本件事故から20年除斥期間の満了は阻止されたことになると判断するのが相当である。自賠責保険の付保されている本件事故においてその損害賠償請求権行為の行為を一定の時間的な幅を持つものと捉えたとしても,その幅症状固定の診断書を提出して事前認定の手続を進めさせてから認定結果が出るまでの事前認定手続期間および事前認定から6か月の訴え提訴準備期間に限られているから,法律関係を画一的に確定しようとする除斥期間の趣旨を乱すことはないというべきである。
(水戸地裁下妻支部平成25年10月11日判決)
<弁護士交通事故裁判例>ペットの預け費用を損害と認めた事例
ペットの預け費用:73万7000円
被害者は,本件事故当時,自宅でペット(ヘビ5匹,ネズミ4頭)を飼育していたところ,本件事故による受傷のため⓵ヘビについては,平成21年11月29日~同年11月29日,日額1万7000円でペットショップに預け,61万2000円を負担し,⓶ネズミについては平成21年10月23日~同年12月22日,日額6000円でペットホテルに預け,フード代等を含めて38万9760円を負担したことが認められる。被害者は,退院後しばらくは自力でペットの世話をすることが困難であったと主張するが,⓵担当医師は退院時点で日常生活動作に支障はないと判断していたこと,⓶ヘビの飼育にはそれほど手間がかからず,ネズミは1日2回の清掃が必要だか,その時間は合わせて1時間程度であり,力が必要な作業ではないことを考慮すると,被害者は退院時にはペットの飼育が可能な状態であったというべきであり,本件事故と相当因果関係のあるペット預け費用は退院した日の翌日の平成21年10月25日までと認めるのが相当である。
(東京地裁平成25年1月25日判決)
<弁護士交通事故裁判例>被害車両の保管料を損害と認めた事例
保管料:6万3375円
証拠および弁論の全趣旨によれば,被害者側は,平成23年3月23日に埼玉県浦和警察署から被害車両の返還を受けて以来,修理業者に対して被害車両の保管を依頼しており,その費用として日額500円の保管料(同年12月2日までの分は12万7500円)を負担していることが認められる。加害者側が,孫権訴訟係属中の同年12月2日,保管されている被害車両を確認しに行き,被害車両の損傷状況を撮影した写真を本件訴訟に提出していることからも,被害車両の損傷状況を保存するために被害車両を保管する必要性があったことが認められるから,少なくとも同日までの保管料12万7500円(被害者が損害として主張しているのは,その一部である。)については,本件事故と相当因果関係が認められる。
(東京地裁平成24年11月30日判決)
<弁護士交通事故裁判例>被害者の帰国費用等を損害とした事例
帰国費用・ツアー損失:7万1778円
証拠および弁論の全趣旨によれば,被害者の母親が,平成22年3月28日から2泊3日の予定で1人当たり4万円の韓国旅行ツアーに参加していたところ,本件事故日の昼過ぎに本件事故発生の連絡を受け,直ちに旅程を中止し,帰国し,その帰国費用として航空券代39万2500ウォン(当日のレートで3万2048円),バス代3000円およびタクシー代1万6730円を要したことが認められる。ツアー代金については,その約半分の旅程は終了していたことから,その半額である2万円について,帰国費用についてはその全額について,本件事故と相当因果関係がある損害と認める。
(東京地裁平成24年11月28日判決)
<弁護士交通事故裁判例>自賠責保険金請求訴訟において支払基準によらず保険金を算定した事例
裁判所が自賠法の支払基準によることなく認定判断をすることの可否
自賠法16条1項に基づいて被害者が保険会社に対して損賠賠償額の支払を請求する訴訟において,裁判所は,同法16条の3第1項が規定する支払基準によることなく損賠賠償額を算定して支払を命じることができるというべきである。そして同条15条所定の保険金の支払を請求する訴訟においても,上記の理は異なるものではないから,裁判所は,支払基準によることなく,自ら相当と認定判断した損害額及び過失割合に従って保険金の額を算定して支払を命じなければならないと解するのが相当である。(原審判決を破棄。)
※自賠法の支払基準における重大な過失による減額ルールでは,被害者の過失割合が7割未満は減額無し,7~8割は2割減額,8~9割は3割減額,9~10割は5割減額とされている。原審判決(高松高判平成22年11月16日)は,被害者の損害額を7500万円,過失割合を8割としたうえで,支払基準を適用し保険金額3000万円から3割減額した2100万円を既払保険金額1500万円を控除した600万円を支払うべきであるとした。
(最判平成24年10月11日判決)
<弁護士交通事故裁判例>人身傷害補償保険金の請求において訴訟基準差額説を採用しなかった事例
人傷保険金額の算定方法:被害者側は,過失相殺等により,損害賠償金が減額される場合であっても,被害者側が人傷保険金と損害賠償金により,裁判基準損害額を確保することができるように解する訴訟基準差額説を主張するが,あくまでも支払保険金の算定は,保険契約者と保険会社との契約,すなわち約款に定める計算規定によって定められるべきである。被害者側が主張する訴訟基準差額説は,「約款解釈の不合理性」「簡易迅速に保険金支払額を算定できる傷害保険の性格に反する」「人傷保険の保険料金体系に見合わず保険業界が混乱に陥る」「算定基準も保険会社毎に異なっている」という理由により,約款の解釈論としてはおよそ採用の余地のないものというべきである。
本件は,計算規定⓶により,人傷基準算出損害額3565万0325円に被害者側の過失相殺を3割として被害者側に支払うべき保険金額は1069万5098円となる。
計算規定⓵:保険金を支払うべき損害の額は,人傷損害額算定基準に従い算出した金額の合計額とする。支払う保険金の額は損害額からすでに取得した損害賠償金等の額を差し引いた額とする。
計算規定⓶:賠償義務者がある場合には,保険金請求権者は,保険会社の同意を得て,人傷損害額算定基準に従い算出した金額のうち,賠償義務者に損害賠償請求すべき損害に係る部分を除いた金額のみを保険金を支払うべき損害の額として請求することができる。
(大阪高裁平成24年6月7日判決)
<弁護士交通事故裁判例>ペットシッター代は事故と相当因果関係がないとした事例
被害者は,被害者が飼っていた犬を被害者の入院中飼育するための費用を請求しているが,ペットの飼育は,加害者が予見することのできない事情であるから,本件事故との相当因果関係がない。
(横浜地裁平成24年2月27日判決)
<弁護士交通事故裁判例>損害賠償請求権の消滅を認めた事例
被害者の症状固定日が本件事故から14年6か月後の平成12年5月2日となったのは,被害者が成人に達した後に下肢長を測定して下肢の短縮障害の程度を判断する必要があったためにすぎない。被害者の下肢の短縮障害は,骨盤骨折によって骨盤が変形したために生じたもので,昭和61年4月5日(K病院での症状固定診断日。骨盤骨折による跛行を指摘)には顕在化していたと推認される。被害者の損害賠償請求権の排斥期間は,本件事故日の昭和60年10月23日が起算日になるというべきである。本件保険会社の担当者が平成3年10月24日に示談案を提示したことじゃ損害賠償請求権の承認に当たるというべきであるが,排斥期間には中断がないと解される。被害者は,排斥期間の経過前,遅くとも症状固定日には,損害賠償請求権を行使できたはずであり,加害者側が20年の経過により損害賠償義務を免れることになったとしても,著しく正義・公平の理念に反するとは認められない。
(東京地裁平成23年11月28年判決)
<弁護士交通事故裁判例>将来のおしめ・ウロガード代を認めた事例
将来のおしめ・ウロガード代:223万3476円
被害者は,本件事故直後より意識障害になり,四肢自動運動不能で寝たきり状態,常に尿便失禁状態にあるところ,おしめ代月額1万8900円,ウロガード代月額2100円とすると,その合計は2万1000円となることが認められる。また被害者は,症状固定後である平成21年12月1日時点で70歳となり,介護期間の年数に対応する中間利息を控除して算定すると次のとおりとなる。
2万1000円×12×8.863(平均余命12年のライプニッツ係数)=223万3476円
成年後見申立費用:4万9350円
本件事故に起因して,被害者の妻が被害者の成年後見人になることを余儀なくされ,その申立てに合計4万9350円の費用を要したことが認められ,これらは本件事故と相当因果関係のある損害である。
植木の剪定費用:19万円
本件事故前,被害者が植木の剪定を行っていたところ,本件事故後,平成20年および平成21年の2度にわたり,これを植木職人に依頼せざるを得ず,その費用として合計19万円を要したことが認められ,これらは本件事故と相当因果関係のある損害である。
(神戸地裁平成23年8月29日判決)
<弁護士交通事故裁判例>被害者の将来の施設費用を認めた事例
被害者は,介護施設の月額費用として毎月概ね30万円程度の費用を支払っている事実が認められるところ,この中には,生活費等として5万円が含まれていることからすれば,本件事故と相当因果関係が認められる月額費用は,25万円とするのが相当である。被害者の後遺障害の程度に鑑みれば,被害者は,今後も施設における入所を継続せざるを得ないものと認められることからすれば,平均余命である10年間の将来費用が,本件事故と相当因果関係が認められる損害として算定されるべきである。加害者側は,算定に当たっては,介護保険等を利用した際の自己負担額に限定して損害が算定されるべきである旨主張するが,現在適用のある社会保険の給付内容や水準が将来的にも維持されることが必ずしも確実とはいえないことからすれば,加害者側の主張は採用し難い,
25万円×12ヵ月×7.7217(10年間のライプニッツ係数)=2316万5100円
(大阪地裁平成23年7月26日判決)
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