<弁護士交通事故裁判例>無保険車傷害保険の填補する範囲を定めた事例
2017-06-29
(加害者側が任意保険未加入のため,被害者は被害者車両に付保している無保険車傷害保険を請求しているのであるが,)本件事故当時,胎児として運転者の胎内にあった被害者は,無保険車傷害条項に定める「被保険者」に該当するとともに,保険金請求者としての「被保険者」にも該当するというべきである。無保険車傷害保険金の保険金額にちて検討するに,無保険車傷害条項が後遺障害の発生を保険金支払義務の発生事由とするものの,その填補をしようとするのは,無保険車事故の発生と相当因果関係の認められる損害であると解されるから,後遺障害に係る損害部分に限定されず,傷害による損害部分(治療費,入院雑費,付添看護費用等)も含まれ,弁護士費用や遅延損害金についても,前者は,被害者らが加害者側に対する損害賠償請求訴訟を提起しており,それに伴って出費を余儀なくされた相当な損害として,後者も事故と相当因果関係のある損害として,いずれも保険金によって填補されるものと解するのが相当である。
(名古屋高裁金沢支部平成17年5月30日判決)