<弁護士交通事故裁判例>将来介護費について1日2000円で認めた事例

2016-06-28

 被害者の後遺障害の中で,特に高次脳機能障害による状態として記憶障害,地誌的障害,感情障害が出ており,被害者が日常生活を送るためには一定の場面で看視・声掛けを行う必要がある。実際にも,①被害者が笹井なことで感情を爆発させて娘らを激しく怒るので,妻が娘らの言動に気を使うとか,②火を使う炊事を被害者が行うと,消し忘れたり使い方を誤ったりする危険が高く,必ず妻が付いてなければならないとは,③被害者の行き慣れていない場所に行かなければならないときは,自分がどこにいるのか判らなくなったり,帰途が分からずパニックになったりするので,必ず妻が付き添わなければならないとか,④暗証番号などを忘れてしまうので,銀行の諸々の手続を1人で行うことはできないといった状況であり,被害者が日常生活を送るに当たり,妻の看視・声掛けが日常的に必要となっている。被害者には,近親者の看視・声掛けを行うために絶えず付添介護が必要ということになるが,その費用額は,被害者の後遺障害の程度も考慮して,1日当たり2000円をもって相当とし,被害者の平均余命年数33年のライプニッツ係数を乗じて中間利息を控除する。
(大阪地裁平成20年5月29日判決)

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