<弁護士交通事故裁判例>14歳男子の死亡について両親の休業損害を認めなかった事例
両親の給与・賞与に関する被害:¥0
被害者の両親はいずれも小学校の教諭である。
父親は本件事故後6カ月療養休暇をとり,そ
の後7カ月間休職し,これによって賞与およ
び休職期間中の給与に減収が生じたこと,母
親は,本件事故後約3カ月間療養休暇を取っ
たほか,遅刻や早退が増え,賞与に減収が生
じたことが認められる。しかし,この命が奪
われた場合に,近親者が精神的衝撃を受ける
ことは一般的であっても,その精神的衝撃か
ら休業し,賞与や給与の減収が生じるか否か
は,近親者の職業等によっても異なり,必ず
しも一般的な事態とはいえない。また,証拠
によると,両親が休業を余儀なくされたのは,
小学校の教諭であったため,職業上子供と接
する状況にあったことが影響しているものと
認めるが,加害者側がこれらの特別事情につ
いて,予見しまたは予見することができたと
認めるに足りる証拠はない。したがって,賞
与及び給与について減収があったことが,本
件事故と相当因果関係のある損害とは認めら
れない。もっとも,賞与及び給与につき減収
があったことは,慰謝料額の算定において考
慮する。
(横浜地裁 平成23年10月18日判決)