<弁護士交通事故裁判例>1級3号の41歳男子の将来の介護費用について,介護保険制度の適用見込みがあることを前提とせず,日額5500円で平均余命分を認めた事例
2016-03-09
被害者は症状固定後も四肢不全麻痺,膀胱直腸障害等の症状を残しており,車椅子での移動や,補助具を用いて食事を自力摂取することは可能だが,排便,更衣,入浴等において介助が必要で,その状態は将来にわたって改善の見込みが極めて乏しいこと,被害者の介護には週に数回ホームヘルパーを利用するほか,専ら同居の長男が当たっていることが認められる。上記の事実によれば,被害者は,およそ37年間の平均余命を通じて,少なくとも近親者による常時介護費用として日額5500円による介護費用相当の損害を被ったものと認めるのが相当である。被告は,被害者の障害内容からして,少なくとも65歳以降は介護保険制度が適用されることが確実であるから,それ以降の介護費用は認められない旨主張するが,被害者が当該制度を利用できるかどうか,どの程度の給付を受けることができるかどうかは,必ずしも明らかとはいえないことに加え,そもそも現実に支給されていない将来の給付見込分について,第三者が損害賠償の責を免れるものと解すべき理由はない。
(大阪地裁平成13年6月28日判決)