<弁護士交通事故裁判例>遅延損害金は請求を受けた時点から発生するとした事例
2017-06-09
国は,自賠法72条1項の保障金請求権は同条項によって創設された公的請求権というべきであるから,この性質にかんがみれば,遅延損害金に関する規定がないのは,もともと遅延損害金を付すことが予定されていないからというべきであると主張している。しかし,国に対する保障金請求権は公法上は民法の支払期日および遅延損害金に関する規定が適用されないと解するのは相当ではない。むしろ,国を当事者とする金銭債権について,会計法が,30~32条の規定において,時効について民法の特則を定めながら,他の事項について触れるところがないのは,公法上の金銭債権であっても,時効以外の点については,その金銭債権の性質がこれを許さないと解される場合でない限り,原則として民法の規定を準用する法意に出たものと解するのが相当である。そして,自賠法72条の定めるてん補金支払い義務について,自賠法および関係法廷は存在しないから,自賠法72条に基づく国のてん補金支払義務は,私法上の金銭債権に準じ,その支払期日について別段の規定が存在しない以上期限の定めがない債務として成立し,民法412条3項により請求を受けたときから遅滞に陥り,同法419条により,遅延損害金が発生するものと解するのが相当である。
(大阪高裁平成15年9月30日判決)