<弁護士交通事故裁判例>生涯常時介護を要する被害者お将来の付添看護費につき,母親が67歳までは近親者による介護1か月18万円その後は職業的付添人による介護1か月36万円を毎月末日限り請求どおり支払うべきものと認めた事例
2016-02-29
被害者の介護は,母親が67歳に達する月までは近親者が行い,その後は職業的付添人による介護を要するものというべきである。
近時,公共団体の福祉サービス等の種々の制度が充実しつつあり,将来的には介護保険制度の利用も考えられることは,加害者側がその主張を理由あらしめるため提出した書証その他の本件の証拠によっても認められ,損害賠償制度とこれらの制度が異なる理念に立脚していることをさておくとしても,実際上そのために被害者の経済的負担が軽減されうることは,加害者側主張のとおりである。
しかし,各種制度の利用可能性や制度の存続には不確実な要素もあるのであって,これらの諸事情などを総合考慮して,1日につき,近親者による介護についてはおよそ6000円,職業付添人による費用はおよそ1万2000円とするのが相当である。
被害者は定期金による賠償を求めるところ,事案に鑑み相当と認められ,平成29年3月までは1か月18万円,平成29年4月以降被害者の生存中は,1か月36万円を毎月末日限り支払うべきものとする。
(東京地裁八王子支部平成12年9月19日判決)