<弁護士交通事故裁判例>損害賠償請求権の消滅を認めた事例
2017-10-13
被害者の症状固定日が本件事故から14年6か月後の平成12年5月2日となったのは,被害者が成人に達した後に下肢長を測定して下肢の短縮障害の程度を判断する必要があったためにすぎない。被害者の下肢の短縮障害は,骨盤骨折によって骨盤が変形したために生じたもので,昭和61年4月5日(K病院での症状固定診断日。骨盤骨折による跛行を指摘)には顕在化していたと推認される。被害者の損害賠償請求権の排斥期間は,本件事故日の昭和60年10月23日が起算日になるというべきである。本件保険会社の担当者が平成3年10月24日に示談案を提示したことじゃ損害賠償請求権の承認に当たるというべきであるが,排斥期間には中断がないと解される。被害者は,排斥期間の経過前,遅くとも症状固定日には,損害賠償請求権を行使できたはずであり,加害者側が20年の経過により損害賠償義務を免れることになったとしても,著しく正義・公平の理念に反するとは認められない。
(東京地裁平成23年11月28年判決)