<弁護士交通事故裁判例>家屋改造に要した費用を損害と認めた事例

2017-03-10

被害者が、本件事故による後遺障害により、起居や移動にはすべて介助を要し、室内・室外の移動にはすべて車椅子を使用しなければならない状況にあることを前提にすれば、車椅子対応の居室フローリング張り・洗面所・トイレの改造と本件事故との相当因果関係は当然認められる。そして床暖房設備についても、被害者の高次脳機能障害、高度痴呆の後遺症害からすれば、安全性の観点から本件事故との相当因果関係を認め得る。また、システムキッチンについては、結果的には不要な工事とも思われるが、被害者の回復を期待してかかる工事を為したことにはやむを得ない事情が認められること、被害者の状況と介護に当たる夫の状況からすれば完全なバリアフリーによる浴室改造工事が望ましいものと考えられるところ、同工事は実施されていないこと等の事情を勘案した結果、台所の改造工事にかかった費用も本件事故と相当因果関係を有する。被害者が支払った家屋改造費791万9500円は全額本件事故と相当因果関係を有する損害といえるが、介護保険法による居宅介護住宅改修費として受給した18万円を控除した773万9500円が加害者らに請求し得る家屋改造費である。

(東京地裁平成15年3月26日判決)

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