<弁護士交通事故裁判例>女性会社役員の休業損害について役員報酬の3分の1を労働の対価部分として算定した事例
2018-08-02
休業損害:¥34,500,000
被害者は事故当時、有限会社P、株式会社Fの役員として勤務し、Fの3店舗
について、仕入の手配、請求書の処理、支払手続、経理等の事務手続き一切を
1人で行い、さらい繁忙期には店舗に出て手伝いをするなどしていた。被害者
の本件事故前のH10の収入は、役員報酬として¥34,800,000であ
ったが、本件事故後は、H11が¥17,400,000、H12が
¥26,100,000、H13が¥26,400,000で、H11から
H13の3年間にかけて合計¥34,500,000、平均すると3分の1の
減収になったと認められる。被害者の前期就労実態ならびに被害者の精神科へ
の入院後は、他の従業員2名を雇用して被害者の行っていた業務を代行させる
などしたことからすれば、すくなくとも被害者に支払われていた役員報酬のう
ちの3分の1程度は労働の対価部分であると認められ、さらに減収となった部
分については被害者が就労できなかったことから減額されたと認められる。
これによれば、被害者のH11からH13の3年間の減収分合計¥34,
500,000は、同人の休業損害と認めるのが相当である。
(名古屋地裁 平成16年5月26日判決)