<弁護士交通事故裁判例>併合1級の症状固定時65歳女子の将来の介護費について,平均余命まで入院費も含めて日額9000円で認めた事例
2016-05-16
被害者は,本件事故により生じた高次脳機能障害および手指の巧緻性の欠如から,起床,更衣,ふらつきのない独歩,食事の準備・後片付け,排便排尿の際の後始末,服薬管理,金銭管理,入浴,洗髪洗身などの後遺を1人で行うことは困難であることや廃用性症候群による症状の進行を防ぐために,日常生活全般にわたって周囲の指示ないし看視が不可欠であり,常時被害者を見守り,状況に応じた適切な指示を行う介護が必要であると認められる。被害者側は息子の家で生活することを前提として将来の付添介護費を請求するが,被害者の後遺障害の内容・程度のほか,本件事故後,被害者を一度も息子の家に連れて行っていないことをも考慮すると,被害者が退院後,息子の家になじんで適切な介護の下で日常生活を送ることは現実的に困難であり,今後も入院しながら,週数日間自宅に戻るという生活を続けることを前提として定めるのが相当である。将来の介護費としては,入院費も含め,日額9000円を認めるのが相当であり,被害者の常時介護は,症状固定時から平均余命までの23年間必要となる。
(大阪地裁平成18年6月26日判決)