<弁護士交通事故裁判例>会社役員の休業損害につき相当因果関係ある減収分を、役員報酬のほかに労働能力が制限された程度を総合して算定した事例
生活態様:ダンススタジオの経営等をする会社の取締役
算定基礎:¥6,529,560(年額)、¥544,130(月額)
被害者が、本件事故にあわなければ得られるはずであった役員報酬は月額
¥658,180であると認められる。しかし役員報酬は、本来当然に全額
が労務の対価として評価できるとは限らないうえ、被害者が復帰した後の
役員報酬額は¥544,130(年額¥6,529,560)とされている。
そしてH9賃金センサス第1巻第1表企業規模計・産業計・男子労働者の
30歳~34歳の平均賃金が¥5,295,400(顕著な事実)である
ことと対比すると、役員報酬中の労務の対価分としては、せいぜい月額¥
544,130であると認められ、それ以上であると認めるに足らない。
相当因果関係ある減収分については、被害者の会社が恣意的に減額割合を
決定している可能性は否定できないので、被害者が現実に支給された役員
報酬額のほかに、労働能力が制限された程度を総合して本件事故と相当因果
関係のある休業損害を算定するのが相当である。そこで、治療経過を前提に
被害者の労働能力が制限された割合を判断すると、入院中の50日間は
100%、その後H10.1.31~H10.4.30の90日間は平均
して50%の限度で労働能力が制限されたと認められる。
休業日数:入院期間である50日と通院期間である90日の合計140日
認容額 :¥1,699,474
(東京地裁 平成13年1月29日判決)