<弁護士交通事故裁判例>エレベーターの設置等について相当性を超えると認めた事例
2017-03-21
被害者は、現在も県営障害者住宅に居住し、現在に至るまで実家の改築は行われていないが、当初実家で生活することを想定していたこと、今後同人が県営障害者住宅に住み続けることができるかは不確実であることから、自宅改築の必要性は認められる。もっとも、その相当性を検討するに当たっては、被害者が退院後約3年余を経過した後も、自宅改造に着手していないこと、自賠責保険金を被害者とは無関係の事項に費消し、被害者のための自宅改築を優先しなかったこと、被害者側の自宅改築の見積りは、トタン屋根構造の機械室にエレベーターを設ける等、現実性に乏しいことからすると、被害者側主張の住宅改築費は相当な範囲を超えるといわざるを得ない。加害者側主張の自宅改築費の
見積りは、車椅子で移動する被害者の生活空間として段差スロープ、段差解消リフト、引き戸、様式便所、車椅子で使用可能である洗面化粧台の設置により、ある程度配慮されていることからすれば、自宅改築費は、加害者側主張のとおり認めるのが相当である。
(名古屋地裁平成17年10月4日判決)