<弁護士・交通事故裁判例>頚椎捻挫の治療として,1週間の入院治療費のみが事故と相当性ある損害と認定された事例

2015-04-17

 A,B,Cらの診療内容と本件事故の態様,その衝撃の部位程度,事故前後の経緯,状況,前認定の診療上の多くの問題点,本件事故当時における頚椎捻挫の一般的治療方針,状況,その他諸事情に照らした場合,Aら3名につきその症状は,通常の頚椎捻挫の域を超えるものとは認めがたく,病院の治療方法,治療期間のうち,特に入院治療の期間が長期にわたっていること,またレオマデックスの点滴静注が施行されていることにつき,医師としての個別の治療行為における裁量的な幅といったものを十分考慮に入れるとしてもなお通常の治療方法,期間としての合理的な必要性を肯認しがたく,前記各認定の諸事情に照らした場合,Aら3名につき,いずれも少なくとも1週間を超えての入院およびレオマデックスの使用については,本件事故との相当因果関係を肯認しがたいものといわざるを得ない。その他の診療内容には過剰診療の感もないではないが,頚椎捻挫の治療行為の特殊性,個別性,また医療行為のある程度の裁量性等を考慮に入れるとき,本件事故との相当因果関係を否定することは困難なものといわざるを得ない。
(広島地裁昭和59年8月31日判決)

Copyright(c) 2016 ありあけ法律事務所 All Rights Reserved.