<弁護士・交通事故裁判例>脊髄後索電気刺激法と事故との相当因果関係を認めた事例

2015-05-08

 被害者は,本件事故後,約7か月間の治療を経ても,自己開眼はするが,追視,従命反応がない状態であったのに,DCS治療開始後の約2か月間で簡易な意思表示が可能になったものであり,被害者の症状の改善が自然経過によるものであるとは考えにくい。DCSの作用機序は必ずしも解明されていないものの,被害者は,DCS療法実施後に改善が見られた症例に多く見られる条件を満たしており,被害者に改善が見られたことからすると,DCS療法が症状に対し,効果があったと認めるのが相当である。以上より,DCS療法は,被害者の症状に対し,一定の効果を及ぼしたものと認められ,被害者の傷害および障害の治療として必要かつ相当なものであったというべきであるから,これらに要した費用についての損害の発生は,本件事故と相当因果関係があるというべきであり,本件事故による治療関係費用としては,合計1198万0812円が認められる。
(大阪地裁平成19年2月21日判決)

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