男子被害者の脾臓喪失による逸失利益算定例(H6.6.27大阪地判)
2021-11-01
脾臓の機能は,主に胎児期における赤血球の生産であるが,成人しても老朽化した赤血球の破壊,免疫作用等の機能があること,成人して脾臓を喪失しても肝臓その他の臓器が代替する側面はあるものの,一過性の血小板の増加等の血液の変化があり,長期的にみると敗血症を引き起こした例も報告されていること,一般にも,全身の倦怠し易い状態を生じるものであることが認められる。これらの諸事情に照らすと,現在の現実的な稼働能力はともかく,将来的に考えると,職業選択,選択後の職業における勤務についてある程度の影響のでることが推認されるものの,労働能力喪失率は,原告の卒業予定時から平均15%とするのを相当と認める。