「異才発掘プロジェクト」 開校式
不登校など学校になじめずにいる小中学生の中から、飛び抜けた才能や興味・関心を持つ子を見いだし、将来の日本をリードする人材に育てようというプロジェクトが東京大学で始まることになり、10日、開校式が行われました。
「異才発掘プロジェクト」と名付けられたこの取り組みは東京大学の先端科学技術研究センターと日本財団が今年度から始めます。
開校式には全国およそ600人の応募の中から、作文と面接で選ばれた15人が出席しました。
不登校など学校になじめずにいる子どもの中には自分の関心のある分野では特にすぐれた能力を発揮する子もいるといわれています。
選ばれた15人の中にはさまざまなタッチで1日に100枚単位の絵を描くという子や水の流れにこだわり、水路の研究に取り組んでいるという子もいて、プロジェクトではこうした子の隠れた才能を引き出し、将来の日本をリードする人材に育てることを目指しています。
月に1度の講義では世界的に知られるロボットクリエーターの高橋智隆さんや元陸上選手の為末大さんなど各分野のトップランナーが講師を務め、一人一人の興味・関心に応じた指導を当面5年間、継続して行う計画です。
プロジェクトの責任者の中邑賢龍教授は、「すぐれた能力を持ちながら学校になじめず、つぶされてしまっている子をこのプロジェクトを通じ、受け入れられる社会を作りたい」と話しています。
どんな子どもが選ばれたか
プロジェクトで選ばれた小中学生の中には、私たちがふだん気に留めないようなことに、こだわりを持つ子がいます。
小学5年生の男子児童は、水の流れにこだわりを持ち、水が流れそうな場所があれば至る所に水路を作って水の流れを何時間でも観察するといいます。
水路には高低差をつけたり、せきを造ったりして試行錯誤を重ね、水が流れるメカニズムを体感することで、将来は砂防ダムなどを造って社会貢献したいと考えているということです。
また、小学6年生の男子児童は絵を描くことが得意で、機械などの複雑な描写から想像上の世界観を持つイラストまで幅広いタッチで描き、5分に1枚程度のスピードで1日に100枚単位の絵を描くなど驚くような能力を持つのだそうです。