「同性婚、法で認めて」人権救済申し立てへ 訴訟も視野
全国の同性愛者らが7月、「同性婚ができないのは憲法の法の下の平等に反する」として、日本弁護士連合会(日弁連)に人権救済を申し立てることがわかった。同性婚の法制化を政府や国会に勧告するよう求める。日本では同性婚に関する判例がなく、憲法判断を問う日本で初めての訴訟も視野に賛同者を募る。
申し立ては、性的少数者の課題に取り組む弁護士らでつくる「LGBT支援法律家ネットワーク」の有志26人が発案。月内に申立書の概要をインターネット(http://lgbt.sakura.ne.jp/lgbt/)で公開し、同性愛者や両性愛者といった性的少数者に参加を呼びかける。これまでに同性パートナー7組14人が申立人となる意向を示した。山下敏雅弁護士は「日弁連が『同性婚ができないのは差別で、法制化すべきだ』というメッセージを発すれば世論喚起につながる」と話す。
申立書では、所得税の配偶者控除が受けられず、遺言書がなければ相続が認められないなど、同性パートナーが直面する約30の問題点を挙げ、「生活のいたる局面で不当に取り扱われ、看過できない不利益を被っている」と主張する。
また、「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」とする憲法24条に対しては、「家制度を廃止し、婚姻が当事者の合意のみで成立することの確認が趣旨だ」と解釈。「制定当時は異性婚のみが想定されていたが、同性婚を禁じるものではなく、同性婚は憲法に違反しない」と訴える。
そのうえで、家族の形が多様化し、同性愛者を受容する社会の意識も高まっているとして、「自ら選択、修正する余地のない性的指向を理由に不利益を及ぼすことは、不合理な差別で許されない」と批判。早急な立法を求める。日弁連が勧告しても強制力はないため、最終的には同性婚についての憲法判断を仰ぐ訴訟も視野に入れている。
性的少数者をめぐっては、東京都渋谷区が4月、同性パートナーに証明書を出す条例を施行。人権を守る動きが広がっている。
(朝日新聞より)