<農協改革>「誰のため」JA全中会長、政権へ対決姿勢

2015-01-24

 自民党の農協改革検討プロジェクトチーム(PT、座長・吉川貴盛前副農相)は22日、全国約700の地域農協を統括する全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章会長を党本部に招き、農協改革について意見を聴取した。万歳氏は、政府が廃止を検討しているJA全中の地域農協への監査権の存続を訴え、「誰のための改革なのか」と政権への対決姿勢をあらわにした。

 PTには自民党議員約140人が参加。万歳氏は、地域農協への経営状況に関する「資料請求権」の返上を柱とした自己改革案を改めて提示。「昨年の検討ではなかった監査制度の廃止などが報じられている。目的は何か」と政府の姿勢を批判した。

 発言した議員の多くはJA全中の立場を支持した。西川公也農相が表明した監査法人による監査を農協に導入する構想については、「協同組合として指導することもある。慎重にやらないと地域に大変なゆがみが生じる」などの慎重意見が相次いだ。

 一方、河野太郎党行政改革推進本部長は、「地域農協の自由度を高める時、監査だけは上から一律では、右と言われて右を向かざるを得なくなる」と指摘。現行の監査制度の弊害を指摘するなど、賛成する意見も出た。

 JA全中による自民党議員への働きかけは激しさを増している。PT開催に合わせ、JA全中は傘下の都道府県中央会を通じ、それぞれ地元選出議員へのPT出席を要請。配布した説明用資料では、「JA全中による監査は、経営指導と一体的な監査が地域農協の健全運営を確保している」としており、同様の趣旨で発言した議員も少なくなかった。

 政府・自民党は農協法改正案を3月中に国会提出する方針。稲田朋美政調会長は同日の東京都内での講演で、「監査権を背景とした指導権がある限り、統制的な指導権を廃止したことにはならない」と述べ、監査権の全廃を改正案に盛り込む考えを強調した。

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