<弁護士交通事故裁判例>遅延損害金の請求が制限される理由はないとした事例

2017-06-07

不法行為に基づく損害賠償債務は,損害の発生と同時に,何らの催告を要することなく,遅延に陥るものであって,後に自賠法に基づく保険金の支払によって元本債務に相当する損害が塡補されたとしても,右塡補にかかる損害金の支払債務に対する損害発生日である事故の日から右支払日までの遅延損害金は既に発生しているのであるから,右遅延損害金の請求が制限される理由はない。
したがって,本件においては,自賠法に基づき支払われた保険金に相当する損害額に対する本件事故の発生日から右保険金の支払日までの遅延損害金請求は容認されるべきであって,これを棄却すべきものとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。そうすると,上告人らの請求は,原審が認容したところに加えて,右保険金に相当する損害額に対する本件事故の発生日である平成8年5月25日から右支払日である平成9年2月14日までの民法所定の年5分の割合による遅延損害金84万7392円の支払を求める限度で容認し,その余は棄却すべきである。

(最高裁・平成11年10月26日判決)

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