<弁護士交通事故裁判例>被害者の将来の付添費等を定期金賠償で認定した事例
2017-08-07
定期金賠償の方式による請求の当否について
交通事故によって受傷した者の損害は,事故発生の時にそのすべてが発生すると観念すべきものではあるが,重度後遺障害者に生ずる将来の付添費,将来の貸しおむつ代,将来の室料差額等の損害は,受賞者の死亡によって発生を止めるのであるから,その数額を一時金の方式で算定するためには,受傷者の余命年数を認定することが必須となるが,重度後遺障害者の余命認定は不可能ではないにしても極めて困難である。上記のような事情の下では,将来の付添費,将来の貸しおむつ代,将来の室料差額等の損害について定額金賠償の方式による賠償を命ずるのには十分な理由があるというべきであり,賠償を請求する者の側でこれを求めるときは,特段の事情がない限り,これを認めるのが相当である。本件において,加害者側は,⓵本件が過失相殺事案であること,⓶今後の賠償義務者の負担,⓷将来の事業変更があった場合の負担,等の事実を挙げて,定期金賠償は認められるべきではないと主張したが,いずれも定期金賠償を不相当とする理由になるとは認められない。よって,被害者が主張する上記損害費目については,定期金賠償による損害を認めるのが相当である。
(神戸地裁平成16年12月20日判決)