<弁護士交通事故裁判例>施術費について債務引受けする趣旨のものと認めた事例

2017-07-21

共済組合(以下「被告」という)の担当者は,平成13年11月20日付の書面により,本件事故による負傷につき,被害者が柔道整復師(以下「原告」という)の施術を受けることによる施術費を,施術証明書および施術明細書を添えて,直接,被告に対し請求するよう求め,さらに,電話でこれを確認したことが認められる。被告の原告に対する申入れは,被害者の原告に対する施術費の支払債務につき,立替払いをする用意があることを予告するに過ぎないものとはいえず,適正な施術費については,被告が債務引受けをするというものであると解されるため,原告と被告との合意により,適正な施術費については,被告は,原告に対し,その支払義務を負うものというべきである。この支払は,交通事故による損害賠償義務の額が確定する前になされるもので,被告はもともとは,原告に対し直接に支払うべき義務があるわけではないのに,あえて合意により支払いをするものであることからすると,施術費の単価については,当事者間で特段の合意をしない限り,被告の定める基準によることが前提となっていたものというべきである。本件では,この特段の合意があったことについては証拠がないので,被告が原告に対して支払うべき施術費は,被告の既払金額のみであるというべきである。

(千葉地裁平成15年10月27日判決)

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