<弁護士交通事故裁判例>介護住宅費用等について認めた事例
2017-03-29
被害者の在宅介護生活のためには介護仕様住宅が必要であるが、被害者の自宅は、2棟の店舗付住宅を連結した構造であり、介護スペースが不十分であるとともに、エレベーターの設置が不可能であり、介護仕様住宅をを新築するほかないことが認められる。そして、証拠によれば、被害者に必要な介護仕様住宅の建築費用は、4287万3311円で、比較対象となる通常仕様住宅の建築費用は、2922万2695円となり、その差額を介護住宅費用の損害として認めることができる。しかし、土地の購入や介護住宅の建築そのものを損害として評価するのは相当ではない。もっとも、証拠によれば、売買仲介手数料、測量報酬額、行政手続報酬額、登記手続費用の契112万2818円を負担していることが認められるところ、これは、従前の自宅とは別の場所に介護住宅を建築することになったために支出した費用ではあるが、測量の必要な土地を購入する必要性や1084m²もの広大な土地を購入する必要性までは認められないから、上記費用のうち、売買仲介手数料の一部である40万円を本件事故による損害と認めるのが相当である。
(名古屋地裁平成24年3月16日判決)