<弁護士・交通事故裁判例>頭部外傷の19歳男子の入院付添費について事故直後の86日間のみ6000円で認めた事例
2015-09-10
被害者の母親及び兄は,被害者がO病院に入院中,毎日24時間,二人ともまたはいずれかが病室で被害者に付き添い,その間実際に被害者の介護を行っていたことが認められる。これに,被害者の兄が被害者の介護のために退職したことをも考慮すると,O病院に入院中の付添看護費としては日額6000円を認めるのが相当である。被害者の母親および兄はリハビリセンターに転院後も被害者に付き添っている。しかしながら,証拠によれば,実際に付添いを依頼したとの記載はないこと,実際に付き添っていた時間についても,面会に関する記載が看護日誌にあることおよび入院期間中も被害者は一定の頻度で外泊を繰り返していたことが認められる。そして,危険認識が乏しいとはいえ,同病院に入院中の被害者は,ADLが自立しており,母親らが付き添っていない時間帯でも他の入院患者との関係で問題を起こした等といった事情は見当たらない。これら諸般の事情を考慮すると,被害者は,リハビリセンターに転院して以降は,リハビリとして声掛けすることの有用性については措くとしても,付添看護の必要性までも認めることはできない。以上によれば,被害者の付添看護費は,本件事故後O病院に入院中(86日間)の期間につき,日額6000円を認める。
(大阪地裁平成19年9月26日判決)