<弁護士・交通事故裁判例>後遺障害1級の被害者の将来の看護費につき81歳まで1日4500円の割合によるとし,入園中の養護ホームの費用を基準にしないとした事例
2015-12-02
被害者の後遺障害の内容,程度,同人の全日常生活の動作,活動には第三者の全介助を必要とすること,同人は症状固定時に66歳でその平均余命は15.21年であることより,将来の看護費として被害者の81歳まで1日当たり4500円の割合で認めるのが相当である。
被害者は病院を退院後特別養護老人ホームに入園して現在に至っているが,被害者の現在の介護は老福法に基づく福祉措置で,そこで要する費用は,市により決定されるものであり(老福法28条1項)私法である損害賠償法とは別個の法関係であるし,そこにおける徴収金の金額自体も一定しておらず,被害者の同老人ホームにおける入園生活も前記看護期間中継続されるという完全な保証もない。しからば被害者の同老人ホームにおける費用をもって将来の看護費算定の基礎金額とするのは相当でない。
以上より,被害者の将来の看護費の現価額をホフマン式計算法で算定すると(4500円×365)×10.584=1738万4220円(過失相殺前)である。
(神戸地裁平成5年4月28日判決)