<弁護士・交通事故裁判例>高額治療費の請求につき,健康保険基準の2倍を限度に事故と相当因果関係ある損害と認めた事例

2015-04-11

 事故と治療との相当因果関係の判断に当たっては,当該治療行為の必要性および当該治療行為に対する報酬額の相当性が検討の対象となるが,本件の治療行為についてはその必要性に疑問をいだかせるような事情は見当たらない。
 本件診療機関の治療費は,健康保険基準による治療費と比較すると投薬料については,12.5倍,注射料については12倍,全体としても10.4倍にのぼっていることが認められるが,自由診療の場合の社会一般の常識的な診療費水準は,健康保険の2倍程度であることが窺われる。
 治療内容や治療を受けるに至った経緯等から高額診療費であっても,加害者に負担させるのを相当とするような特別の事情は本件に存しないこと明らかであるから,損害の公平な分担の見地からその全額を本件事故と相当因果関係のある支出であるとは到底認め得ない。被害者の受傷の程度,治療内容,回数,社会一般の診療費水準等諸般の事情を考慮すると,健保基準の2倍の金額(初診料および再診料は,医師会標準料金)が本件事故と相当因果関係がある。
(東京地裁昭和51年3月25日判決)

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