<弁護士・交通事故裁判例>被害者が転医を繰り返し,治療が長期化した事情を斟酌して損害額を算定した事例
2015-04-10
被害者の病名が変転するのは,各病院において被害者の損傷部位を頚椎,脳,脳幹のいずれの観点から診断したのかの医師の見解の相違に起因するものと推認でき,被害者の愁訴も頸部ないし頭部打撲によって発生する多彩な症状の域を出ず,日時の経過により症状も変化をきたすことを勘案すると矛盾しているとか不合理であるとまではいえないし,慢性化した神経症状が心因的要素により持続,増幅することはあり得るが,同精神薬の使用や精神療法が採られた形跡はなく,他に心因性と認めるに足りるっ証拠はない。
しかし,被害者の治療経過に照らすと,被害者は必要以上の転医を繰り返し,その結果,諸検査が重複して行われ治療費が必要以上に拡大し,結果的に治療が長期化していることは否めない。
(東京地裁昭和49年10月29日判決)