<弁護士・交通事故裁判例>外科医院における94日間の個室利用を含めた入院治療の必要性を認めら事例
2015-06-08
確かに,被害者はS病院で退院可能となって退院しており,N医院での入院治療は,被害者が求めたものではある。しかし,N医院においては,当初,軽微なものとはいえなかった頭部の外傷が回復してきたせいか,腰痛に関する主訴や治療が主体となってきたものでS病院における治療とは主たる治療の対象が異なってきている。また,N医院で訴えていた腰部の症状は,必ずしも軽微とまではいえず,車両の損傷状況から事故の衝撃が相当程度に大きかったものと推測されることからすると,それは不自然なものとはいえず,安静の必要が大きかったことも理解できるところである。そして,N医院での入院治療は,医師もその必要性を認めたものであるうえ,個室利用を含めた入院治療の必要性は,治療方法に関するもので,ある程度医師の裁量が大きくならざるを得ないことを併せて考えると,N医院において,個室において入院治療がなされたことが不相当であったとまではいえない。したがって,N医院における個室利用による入院治療も本件事故と相当因果関係があるというべきである。
(東京地裁平成11年9月16日判決)