<弁護士・交通事故裁判例>傷害治療費計算の基礎となった1点単価25円の基準を結果的に肯定した事例

2015-04-21

 被害者が訴える症状は,事故後,眼科的訴え,胸部圧迫などの不定愁訴が主となったことが認められるが,一般に傷病に対する訴えには個人差があり,いわゆるむち打症については患者自身でないと理解できない不定愁訴があることも顕著な事実であって格別これを過剰であると非難すべき合理的理由はない。
 診療医の注射,投薬等,施療方法の相当性についても,一般に医師は,医療の専門家としてその施療方法等について相応の裁量幅を有しているというべきであって,特段の事情もないのに,第三者が当該治療方法を不相当と断ずることは困難である。これを本件についてみても,これを過剰診療と断ずる確証はない。
 治療費計算単価は,各府県によって異なるのが実情で,自由診療の場合は,20円の単価が基本だが,他方他府県では30円とする病院も多く存在し,これは突出して高単価であるため,単価25円を採用したものであることが認められる。これらの情況からすると,治療費計算の基礎とした単価25円は,全般的比較としては高いというほかないが,さりとて,これを不当と解することも困難である。
(大阪高裁昭和60年10月29日判決)

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