裁判員「証拠写真しんどかった」 尼崎連続変死公判後一問一答
尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の次男、優太郎被告(28)に神戸地裁は18日、懲役17年の判決を言い渡した。過去最長となる132日間の裁判員裁判を終えた裁判員4人と補充裁判員1人が神戸地裁で会見に応じた。
主なやりとりは次の通り。
-裁判員を終えた感想
A(40代男性) 社会的に有名な事件で、選ばれた責任の重さを痛感した。裁判が終わり、正直ほっとしている。
B(24歳男性) 会社と裁判の両立ができるか不安に感じた。(水-金曜の)週3日の審理は会社と両立するには負担でもあるし、配慮してもらった部分でもある。判決は長い期間評議を重ねた結果なので「これでよかったのか」という思いと「やりきった」という思いがある。
-計132日間の裁判員裁判。生活や仕事での負担は?
C(20代女性) 私は3歳と0歳児の子育て中で、子どもとのコミュニケーションが短くなってしまうことは残念に感じた。
D(30代女性) 自宅から裁判所まで約3時間。裁判の時は神戸の実家に宿泊するなどして迷惑をかけてしまった。ただ、住所地が遠いからという理由で候補から外されるのはよくないと思う。
E(45歳男性) 一般生活では見ることのない光景の証拠写真などを目の当たりにすることは、正直しんどかった。
-制度の課題や変えた方がいいと思ったところは?
D 今回選ばれた裁判員は男女5人ずつだったので、バランスのとれた活発な評議ができたと思う。今後は男女比が同じになるようにあらかじめ決めて抽選してもいいのではないかと思った。
E 一日の審理が終わると、現実に対する怒りや悲しみが頭に残っている。審理後、裁判所でその日の振り返りのようなことがあってから帰れる方が、後の日も有意義な評議ができるのではと思う。
-事前の報道は審理に影響したか。
C 裁判中、報道とは全然違う話だと思うこともあった。検察官も裁判官も事件の流れを分かりやすくきちんと説明してくれたので、それまでの報道に左右されることはなかった。
D 特に気にはならなかった。むしろ公判を終えた後に(その日の公判の)報道を見て頭を整理するというように役立てていた。
-美代子元被告や優太郎被告について審理を通じて感じた印象は。
A 美代子元被告についてはさみしい人、(他人に)見てほしいという思いが強い人だったのではと思う。優太郎被告については、美代子元被告のもとでなければいい青年になっていたのではないか。
B 美代子被告は、ひどいことをする人、えたいがしれないなと思った。優太郎被告は、普通の家庭に生まれ育っていれば、健全な人だったのではと思う。同情してしまう一面もあった。
-複雑で特異な事件。一つ一つの事象や証拠を整理する余裕はあったか。
E はじめは、どういう人間関係の整理をすればいいのか悩んだ。
-家に帰って何も手が付かないなど、つらさはあったか
D 長期間にわたり、初対面の人同士でいることがつらくなった時期があった。
-週に2、3日という裁判所の配慮については?
E 私は平日を全部裁判で埋めて期間を短くしてほしかった。(裁判のない)月、火曜日に会社に行くと仕事を期待される。でも、やり残した仕事が気になったまま裁判に臨まなければいけなかった。
B 審理の点では週5日やった方がよかったと思う一方で、週2日空いていたので気持ちの整理をつけられてよかったとも思う。会社にも(2日間行けることを)ありがたがられた。
(神戸新聞より)