中学3年生女子の高次脳機能障害について賃金センサス学歴系女性全年齢平均賃金で認めた事例(H17.11.25大阪地判)
2021-08-10
被害者は本件事故により頭部外傷Ⅲ型等の傷害を負い,当初意識障害の症状が起きていたこと,事故後,動作性知能指数の低下,軽度の物忘れ症状,集中力の低下などがみられること,自賠責保険における後遺障害認定で9級4号の認定がなされていることに鑑みれば,原告の後遺障害は,神経系統の機能または精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるものとして,9級10号に該当する。なお,上記の後遺障害は頭部に外傷を負ったことによる器質的な病変によってもたらされたもので,事故当時あるいは事故後原告に現れている非器質的の精神症状を評価に加えたものではないから,被害者が本件事故当時,既に心身症と診断されていたとしても,判断に影響を与えない。また,被害者の前頭部の生え際に4cmの線状痕が残ったことは前記のとおりであるが,労災の認定基準における外ぼうの醜状とは,頭部については鶏卵大面以上の瘢痕等をいうとされているところ,原告の線状痕はこの基準を満たしていないこと,ピンで髪を留めれば隠すことができる傷痕であることに鑑みれば,慰謝料の認定に当たって考慮することは別として,前記認定を左右するに足りない。