<飲酒ひき逃げ事件>危険運転致死傷適用でも悲しみ減らない

2015-01-26

 北海道小樽市で昨年7月、女性4人が死傷した飲酒ひき逃げ事件をテーマにしたシンポジウムが24日、札幌市であった。

 事故で亡くなった原野沙耶香(さやか)さん(当時29歳)の父和則さん(62)が参加。危険運転致死傷の適用を求めた署名活動について「被害者が声を上げないと何も変わらないと思った」と振り返った。

 事件では、札幌地検は車を運転していた札幌市西区の飲食店従業員の男を自動車運転処罰法違反の過失致死傷などで起訴。より罰則が重い同法の「危険運転致死傷」は適用しなかった。和則さんは当時の心境について「危険運転で起訴されなかったときは、ぼうぜん自失になった」と話した。

 和則さんらは、そうした「つらい精神状態」の中で7万人以上の署名を集め、札幌地検に提出。地検は「危険運転致死傷」の訴因変更を地裁に申請し、昨年11月に変更が決定した。男の裁判はこれから始まる。和則さんは「(判決が)どうなろうと悲しみは減らないが、私は(男が)なぜ逃げたのかを知りたい」と訴えた。

 シンポジウムは「スローライフ交通教育の会」(前田敏章会長)の主催で、専門家や教師らが参加。交通犯罪が厳罰化されない現状や課題について話し合うとともに、飲酒運転を防ぐための教育活動の提言などをまとめた。(毎日新聞より)

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